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泥のように働かされる「ブラック会社」どう見分けるか?

   世界的な景気後退で企業経営が厳しさを増すなか、リストラやボーナスカットなど働く者の環境も悪化している。今後、さまざま事情で新しい仕事を探さないといけない人が増えるだろうが、「雇ってくれればどこでもいい」という焦りに付け込む「ブラック会社」には注意したほうがいい。

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2ちゃんねるのスレッドで有名になった

「21世紀の蟹工船」とも呼ばれた『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』
「21世紀の蟹工船」とも呼ばれた『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』

   「ブラック会社」とは、「優良企業」の反対の意味。経営基盤が不安定で仕事が過酷、サービス残業は当たり前、人間関係はグチャグチャ、社長はワンマン、上司は無責任、現場監督は無能、職場いじめが横行してメンヘル患者が出る。それでいて給料は安い、などの特徴を併せ持つ。

   この言葉を一躍世に知らしめたのは、2007年の11~12月に2ちゃんねるで盛り上がった『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』というスレッドだ。08年6月には、新潮社から書籍化もされている。

   『ブラック会社…』の主人公は、高校を中退しニート生活を送る地方都市在住の青年だった。母親の急死を機に、一念発起して情報技術の国家資格を取得。やっとの思いで就職した零細IT企業は、劣悪な職場環境の「ブラック会社」だった。

   しかし父親を心配させたくない主人公は、尊敬する先輩社員の助けを借りて一人前のプログラマーになっていく――。そんな「感動の成長物語」としても読むことができるが、印象に残るのはやはり過酷な職場の状況だ。

「ばかやろう。定時なんてものは都市伝説だ。フィクションっての知らんのか?」

   怒鳴り散らすだけの現場リーダーに、うつで入院してしまう同僚、問題を放置しているように見える社長など、中小IT企業のブラックな実態を知るには格好の材料だ。読みながら「もしかすると、これ自分の会社じゃないか?」と思った人も多いのではないか。

「夜遅くまで電気がついている」会社には気をつけろ

   ただ、「本物のブラック会社は、こんなホノボノしたものではない」と指摘する人もいる。最初から違法と分かっている悪徳商法を、確信犯的に行っている会社。最初から「使い捨て」を前提として社員を採用する会社。そんな会社に比べれば、『ブラック会社…』は、確かにカワイイものかもしれない。

   では、そんなオソロシイ「真性ブラック会社」に捕まらないためには、どこで判断すればいいのか。ウェブサイト「退職願を胸に...OL・会社員のための退職総合情報」では、「ダメな会社に入ってしまう前にできること」として「入社前に見抜く!」7つのポイントを挙げている。

(1) 求人誌の常連(退職者が多い可能性あり)
(2) 入社を慌てさせる(入社直後から酷使される)
(3) 気合の入った面接(夢という名の欲)
(4) 夜遅くまで電気がついている(慢性的な残業)
(5) ネットで叩かれている(不満を抱えた社員が多い可能性)
(6) 入社日が近いのに何の連絡も無い(人事部の機能が麻痺)
(7) 会社案内のパンフで見栄を張る(よく見せようと必死)

   これだけではブラックと判断できないという反論もあるだろうが、残業が多いかどうかを確かめるために、夜遅く入社を検討している会社を見に行くのは、なかなかいいアイデアではないか。

「23時を過ぎてもこうこうと社屋の電気がついているようなら、膨大な時間数の残業を強いる会社である可能性があります」

職場見学で「社員がにらみつけてくる」会社は要注意

   一方、ウェブサイト「ブラック企業の見抜き方」のリストは、もっと細かい。

「零細で社員数が少ないのに役員数が多い(社長の親族等が不労役員になっている)」
「全体の社員数に対する求人人数の多い会社(離職率高い、頻繁に大量首切り)」

などは、事前に分かる重要なポイントだ。

「勤務条件や待遇を説明しようとせず、前職給与も聞いてこない会社」

なども、面接時にチェックして避けておいたほうがよい。

   興味を引いたのは

「職場見学に行くと社員がにらみつけてくる」

というチェックポイント。どういう根拠かと思ったら、それは見学者に対する「こんな会社入るな!というメッセージ」なのだそうである。その他、

   「正社員募集のはずがアルバイト、業務請負、契約社員として採用しようとする会社」

に注意すべき、というのもうなずける。その会社の真の姿は実際に働いてみないと分からないことも多いが、事前に「ブラック会社」かどうかをチェックしてみるのは無駄ではないはずだ。

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