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会社がつぶれる前に逃げろ!? 不況で「脱出型」転職が増加

   不況の影響を受けて、転職する人の意識に変化が起きている。リクルートの調査によれば、2年前は「賃金への不満」を理由にした転職が多かったが、リーマンショック以降はその傾向が弱まり、逆に「会社の将来性や方向性への不安」を理由とする転職が増えている。

退職理由1位は「会社の将来性や方向性への不安」

   リクルートが運営する転職サイト「リクナビNEXT」は、景気悪化が鮮明になった2008年11月、転職者の動向と意識に関する調査を実施した。同サイトの利用者で転職が決まった人にアンケートして、609件の回答を得た。

   転職するにあたって前の勤務先を退職した理由はなにか――そのような質問に対して、もっとも多かったのは「会社の将来性や方向性への不安」という答えだった。リクルートでは、2006年にワークス研究所が同様の調査を実施しているが、そのときの退職理由の1位は「賃金への不満」で、「会社の将来性や方向性への不安」は4位だった。

   つまり、好景気だった2年前に比べて、「会社の将来性や方向性への不安」を理由にした転職が増えているといえる。一方、「賃金への不満」は1位から4位へと順位を落としており、賃金の多さよりも会社の安定性を求める人が増えたことをうかがわせる。

「不景気の中、職を得られてほっとした」

   また今回の調査では、33.8%が「景気悪化の影響があった」と回答している。「転職が決まった今の気持ちは?」との質問に対しても、

「この不景気の中、苦戦の後に職を得られてほっとした」
「不景気といわれている中で、キャリアチェンジできたので、とても安心しております」

といった経済情勢を反映したコメントが寄せられた。

   アンケート結果について、リクルートは

「リクナビNEXTの利用者の動きからすると、景気の動向によって転職者の数が極端に増えたり減ったりしているわけではないが、転職理由の中身は変化している。好景気のときは、よりよい条件や賃金を求めて転職しようとする人が多く、会社側は社内の待遇を改善して引きとめをはかる必要があったが、不景気の今は『会社にとどまりたい』という人が増えている。その一方で、会社の倒産や事業縮小で仕方なく転職する人が増加している。このような傾向はしばらく続くものとみられる」

とコメントしている。