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「上場企業は優良企業をイメージ」 48.6%は高いか低いか?

   かつて「上場企業に勤務」といえば、学生の憧れであり、親戚にも鼻が高かった。しかし、上場企業の赤字やリストラ、倒産が報道されるにつれて、イメージも少しずつ変わってきている。ある調査では「上場企業は優良企業をイメージ」と回答した人が48.6%となったが、この割合は高いのか低いのか。

若い女性は転職先に「上場企業」を希望する割合が高い

中小ベンチャー企業のイメージアップも影響しているかもしれない
中小ベンチャー企業のイメージアップも影響しているかもしれない

   アイピーオー総合研究所は、企業の「株式上場」に対する従業員(被雇用者)の意識調査を実施した。その結果、「上場企業のメリット」としては「優良企業のイメージ」(48.6%)が1位に。次いで「経営状態が明瞭」(47.6%)、「賞与、福利厚生、社会保障などがしっかり整備されている」(46.2%)と続いている。

   ただし、現在上場会社に勤務している人の回答は、「賞与、福利厚生・・・」が41.5%で、全体と比較して5%近く差が出ており、イメージと現実とのギャップがあるのではないかと思わせる。

   「上場企業を転職対象として選びたい」と回答した人は、全体では31.5%にとどまったが、上場企業勤務者に限ると52.1%、男女別に見ると20~39歳女性の47.9%が「上場企業に転職したい」と回答し、一定層におけるこだわりが表れた。

   ある回答者(女性・32歳)は、上場会社への転職を希望する理由を、次のように説明している。

「大きな会社などである一定の状態を保つには、それなりに個人個人の努力も大切になってくると思う。そういった向上心のある企業に勤めていると、ものすごく自分を高めることができ、最終的には人生の糧にもなると思う」

「年商百億円の上場企業」より「年商千億円の非上場企業」

   一方で、転職先は「上場・非上場にこだわらない」と回答した人は、全体として61.4%となった。就職難が表れているとも推測されるが、一方で、年齢が上がれば上がるほど「こだわらない」が増えるところを見ると、社会経験を積んだ人にとってはイメージより実質ということかもしれない。

   これを裏付けるように、「上場している年商100億円の企業」と「非上場の年商1000億円の企業」、どちらがすごいかという質問には、後者をあげた回答者が51.6%を占め、前者をあげた回答者(29.6%)を大きく上回った。結局は上場・非上場よりも、実質的なビジネスの勢いが重要ということだろう。

   空前の不況下で、新規公開をする企業が激減し、上場廃止企業が増えた。国内上場企業数(東証1部・2部、マザーズ合計)は2006年末と比べて50社以上も減少している。上場維持コストもバカにならないので、今後はイメージだけではなく、資金調達などの目的やメリットを明確にして上場・非上場を判断する流れが強まるのではないか。

   調査対象はサイト利用者 368名。上場企業勤務(32.9%)、非上場企業勤務(61.7%)の従業員を対象とし、アルバイトなど非正規社員も対象としている。