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「電話を取るのは新人の役目だろ!」は正しいのか

   2010年2月4日付けのゲンダイネットの記事「若手社員の皆さん 頼むから電話に出てくれ」が、ネット上で話題になっている。若手社員が出るべきなのか、それとも、そんな考え方はもはや古いのか。

「電話番を雇うべき」は正論だが解決策にならない

誰がかけてきたのか分からない電話を誰が取るか
誰がかけてきたのか分からない電話を誰が取るか

   議論の的となっているのは、「電話を取るのは新人の役目だろ!」と怒鳴る先輩に向かって、「自分宛てにかかってくる電話はほとんどありません。どうしてボクが取らなくちゃいけないんですか?」と新入社員が言い返したエピソードだ。

   この記事を掲載したライブドアニュースのコメント欄や、ネット上の掲示板、ブログなどには、新入社員を擁護する意見と批判する意見が交錯している。ネット上の意見をまとめると、

1.「かかってきた電話はみんなで取ればいい。新人に押し付けるのはおかしい」(新人)
2.「誰かが取らなきゃならないんだ。半人前なんだから電話くらい取れよ」(先輩)

の2つに集約されるようだ。要するに問題は「社外や他部署から電話がきたときに、相手を待たせずに誰が優先して取るべきか」ということ。なので、

「電話番を別に雇うべきだ。エンジニアの仕事は電話の取次ぎではない!採用時に職責を明確しない日本企業文化の最大の問題点」
「社員全員に内線番号を割り振ったPHSを配付すれば解決する話」

という指摘は、正論かもしれないが、このご時勢でコストをかけられる会社が少ないことを考えれば、現実的な解決策にはならないだろう。

自分宛ての電話でなくても取るべき理由はある

   新人側が主張する「話の分かる人が直接取った方が早いから」という言い分は、「電話はすべて新人がとるのが当たり前」という勝手な思い込みよりも筋が通っている。しかし一方で、電話を共有する人数が多い場合には、誰宛ての電話であるのかは取ってみなければ分からない。

   誰かが取り次がなければならないのだから、仮に自分宛ての電話が少なかったとしても、仕事の負担が比較的軽い新人がその役割を負うべきという意見には、それなりの説得力があるのではないか。

   もうひとつの見方は、「電話の受け答えは仕事の基本で、慣れが必要。手が空いているうちに積極的にやっておいた方がよい」という先輩側からの意見だ。

   「できるヤツと思わせる20のコツ」を連載する野崎大輔氏も、「天下人・豊臣秀吉も、織田信長の草履取りから出世した」という例を紹介しながら、誰もが避けがちな雑用を進んでやることの効果を強調する。

   別の視点からは「最近の若い人は、実は礼儀を踏まえた電話対応が苦手。何かと理由をつけて電話対応を避けているだけ」と指摘をする人もいた。

「昔は家に電話するしかなかった。相手の親が出た時はしっかり敬語を使わなきゃならんから、最低限の電話のマナーは身についてた」

   いまは携帯電話で友人に直接話しているから、他人の電話を取る経験が少ないのは確かだ。これらの意見を踏まえ、新人社員はどう考えるだろうか。そして先輩社員も、新人に電話を取り次がせて優越感に浸っているようなことがないか、自分の足下を見直してみた方がよいだろう。