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人手不足「手抜き」でカバー 米国の職場不正の実態

   事業再生アドバイスや組織不正調査などの専門サービスを提供するKPMG FASは2010年9月、米KPMGが作成した報告書「従業員の誠実性に関する調査報告」の日本語版を発行した。回答者は全米の従業員5065人で、勤続年数10年以上が約半数を占めている。

ノルマに耐えかね「売り上げ水増し」

過重労働に不満を抱く若者は少なくない
過重労働に不満を抱く若者は少なくない

   それによると、回答者の74%が過去1年以内に「自分が所属する組織内で不正・不祥事が発生している」と答え、うち62%は「発覚すれば社会的信用の重大な失墜を招く可能性があった」としている。

   不正の種類は部門ごとに特徴があり、研究開発部門では「機密情報の流出」、購買・調達部門では「条件を満たさない取引先との契約」や「不適切な贈り物・キックバックの受領」、製造部門では「従業員に対する差別」や「社内での薬物・アルコールの乱用」などが挙がっている。

   不正・不祥事の主な要因として、最も回答が多かったのは「目標達成へのプレッシャー」で59%(複数回答)。たとえば営業部門では、課せられたノルマの重さに耐えかねて、売り上げの水増しや競合情報の不正収集、談合などが行われているという。

   同様に、「プロセスよりも結果重視」(52%)の評価が行き過ぎたり、「目標未達を理由に解雇されることの恐怖感」(49%)をあおり過ぎたりすると、定められたルールを逸脱した仕事を誘発することがあるようだ。

   また、「人手不足で増大した業務負担を緩和するための手抜き」(50%)という要因も挙がっている。要するに米国では、仕事があまりにキツすぎると手抜きをする人が現れ、品質上の問題やそれを隠すための偽造などが発生するということ。

   日本でも、リストラや採用抑制で若手社員に業務のしわよせが及び、長時間労働を余儀なくされる職場もあるはずだ。あからさまな手抜きをする人は多くないという印象だが、水面下では「米国流」の対応も進んでいるのだろうか。