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職場での高ぶる感情は「考え方」でバランスを取る

   職場でストレスを感じる出来事に直面したとき、自分の行動パターンを振り返ると、知らずしらずのうちに特定の行動に偏っていることに気づきます。そんなときには「考え方」を修正して高ぶる感情のバランスを取り、ストレスをコントロールしましょう。

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上司なら感情に振り回されてはいけない

感情の処理と問題解決の行動のバランスを取る
感情の処理と問題解決の行動のバランスを取る

   人はストレスに直面すると、不安や焦り、怒りや悲しみの感情が高まります。すると心に余裕がなくなり、行動が偏りがちになります。問題から逃避したり、感情を爆発させたり、自分だけで解決できない問題に真正面からぶつかろうとしたりします。

   もしも心に少しの余裕があれば、他にも対処法があることに気づくはずなのですが、ついバランスの悪い自分の行動パターンにとらわれてしまいがちです。

   ストレス反応に関する調査によると、生じた感情をためこんだり感情にまかせた行動をしたりする人は、ストレスをよけいに強く感じてしまう傾向があるそうです。

   例えば、あなたの部下が大きなミスをしたとしましょう。そのとき強い怒りに駆られて、部下を激しく叱責したくなったとします。

   そのときあなたの中で沸き起こった感情は、部下の行動を正そうとする気持ちでしょうか。もしかすると、「自分が責任を取らされるかもしれない」というおそれなのかもしれませんし、「なぜあれほど指導したのに分からないのか」という落胆なのかもしれません。

   しかし、上司としてなすべきことは、部下へのフォローの指示や、ミスによって生じた問題の解決、部下にミスを繰り返させない適切な指導ではないでしょうか。そこをしっかり押さえれば、ミスによる問題も減り、部下からの信頼も得られて今後の仕事がやりやすくなるでしょう。

   逆に、押さえるべきところを外して、やみくもに感情に振り回されるようでは、よい上司の役割を果たしているとはいえませんし、自分自身のストレスを余計に強めることにもなります。

部下なら叱責を深刻に捉えすぎずに

   また、あなたがミスをして上司に厳しく叱責されたとします。そのときは、逆に上司の立場から、なぜこんなに感情的になっているのか想像してみると、直面する出来事を客観視することができ、ストレスをコントロールすることができます。

   上司は自分に対してミスの重大性を認識させようとしているのかもしれませんし、二度と起こしてはいけないことだと強調しているのかもしれません。もしかすると、上司が責任を取らされるかもと不安になっているのかもしれません。

   このように考えることで、上司の叱責によって生じたストレスをコントロールし、本来なすべき行動をすんなり取ることが重要です。

   最も望ましくないのは、ストレスによって感情が混乱し、問題から逃避したり、感情を爆発させたり、叱責されたことを直視しすぎて深刻になってしまうことです。

   こうなると、次に自分がとるべきフォローなどの行動がおろそかになってしまいます。視野が狭くなって偏った行動パターンに陥ってしまうと、適切な行動ができなくなってしまうのです。

   大事なのはミスの後のフォローであり、同じミスを起こさないことと考え、指導に答えられなかったことに対してはきちんと謝りましょう。そのうえで、上司も感情の処理が必要な切羽詰った状況だったのだろう、とあまり深刻に捉えすぎないのも、部下に必要な心構えといえるでしょう。


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今回の筆者:友常 祐介(ともつね・ゆうすけ) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科産業精神医学・宇宙医学グループ所属。労働衛生コンサルタント。筑波研究学園都市で働く研究者のメンタルヘルスに関する研究で医学博士を取得。現在、日本原子力研究開発機構などで産業医を務め、幅広い健康管理に携わっている。