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就活学生の「安定志向」 30年前から変わらず

   就職支援会社のダイヤモンド・ビッグ&リードが発表した「大学生が選んだ就職先人気企業ランキング2011」によると、就職活動中の大学3年生と大学院1年生に人気があるのは、文系男子では三菱商事、理系男子では東芝が1位だった。

   この結果に対し、調査元は「大手安定志向が強まっている」とコメントしているが、この傾向は今に始まったことではなく「昔から変わらない」という指摘もある。

旧財閥系の商社に金融、大手製造業・・・変わりばえなし

「イマドキの若者」特有の傾向ではない
「イマドキの若者」特有の傾向ではない

   文系男子の2位以降には、三菱東京UFJ銀行、住友商事、東京海上日動火災保険、みずほFGが並び、理系男子ではソニー、三菱商事、日立製作所、住友商事が続いた。

   旧財閥系の総合商社や金融、大手製造業の人気は根強い。確かに「若者の安定志向」を嘆きたくなる結果ではあるが、過去のランキングを見ると、必ずしも現代の若者の特質とはいえないところもある。

   毎日コミュニケーションズが実施している「大学生就職企業人気ランキング」によると、1977年時点の人気企業は、文系では東京海上火災、三井物産、三菱商事、理系では日立製作所、東芝、富士通がそれぞれトップ3だ。

   70年代には上位ではないソニーも、90年代を通じて常にトップクラスを維持していたし、旧三菱銀行は94年に文系男子で1位を獲得。

   30年間の推移を見ると、金融機関の合併や電電公社の民営化、日本航空の破綻などによる出入りを除けば、あまり変わりばえしない。

   変わったことといえば、インターネットで求職エントリーが手軽になったことと、リーマンショック後に大手企業の採用が急激に絞り込まれたこと。結果的に、より大量の不採用通知が送られていることになる。

入社した先輩「ランク外の会社の方が成長している」

   社会経験の少ない学生が、有名企業の名前しかあげられないのはしかたがないが、企業側は学生が必要とする情報をきちんと発信できているだろうか。ネット上には、実際に働いている人からの冷めたコメントが並んでいる。

「世間では有名な企業で働いているけど、知名度なんて関係ないんだと思った」
「関係ないことはないだろ。合コンでの話のつかみとか、親戚、旧友への自慢とか」
「順位に全く入らない後輩の企業の方が、給与も良いし、会社も成長してる」

   このような現実が知らされないまま、ランキングが作られ、学生があおられていると考えると、少し気の毒な気がする。

   なお、女子のランキングは、文系では5位の全日空以外は男子とあまり変わらないが、理系では明治グループ(明治製菓と明治乳業が経営統合)、ロッテ、味の素など食品系が上位に。不況に強い業種であることには変わりないが、男子に比べて多彩だ。