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「自分の会社が嫌い」38.5% 人間関係、社風、評価制度に不満

   JTBモチベーションズが企業に勤める20~40代の男女618人を対象に調査したところ、自分が勤める「会社が好き(好き+どちらかというと好き)」と答えた人は61.5%、「会社が嫌い(嫌い+どちらかというと嫌い)」と答えた人は38.5%だったという。

   会社が嫌いと答えた人に、その理由を聞くと、「社内の人間関係がよくない」「社風がよくない」「評価体制に問題がある」「労働環境がよくない」といった回答があがった。

40代女性は「格差」に敏感

「どちらかというと好き」と答えた人が半数以上(出典:JTBモチベーションズ)
「どちらかというと好き」と答えた人が半数以上(出典:JTBモチベーションズ)

   会社が好きと答えた人に理由を聞いたところ、「自分に合った仕事ができる」「社内の人間関係がいい」「会社が社会に役立っていると実感できる」といった内容が上位だった。

   会社が好きな人と嫌いな人の間で、もっとも大きな差が出たのは「今の会社に勤め続けたい」と答えた人の割合で87.0ポイント。「今の会社に所属することに誇りを感じる」「仕事に対するやる気は高いと思う」という人の割合も、80ポイント以上の差がついている。

   会社に対する愛着が、仕事のクオリティや従業員の生産性にも関係している可能性がある。回答者の不満では、40代女性社員の声が目に付いた。

「役員たちは自社株で数千万円も儲けているのに、製造現場にいる社員や契約社員は過酷な労働とサービス残業を強いられている。土日の休みなんてほとんどない」
「不思議なくらい昇進しない。20年も働いていれば、管理職は無理でも1ランク程度上がってもいいと思う。新卒の男性社員は必ず昇進するが、中途入社の女性社員はよほどのキャリア転職でないとヒラのままだ」
「スキルのない社員が本社から地方に飛ばされてくるので、地方固定の事務員は迷惑を感じる。仕事もできないのに、契約社員を差別する言動を取られて癪に障る」

   役員と社員、男性と女性、正社員と契約社員との間に存在する格差や不公平感が不満につながっているようだ。好景気のころに入社した40代女性には、ことさら辛く感じられるのかもしれない。

   若手~中堅の男性の中には、上司や先輩の人間性や責任感に不満を抱き、モチベーションを上げられずに悩む人もいる。

「パワハラ社員がいて職場環境が非常に悪い」(30代男性)
「やれと指示されたことを忠実にこなしても、トラブルが起きれば会社は守ってくれない。平社員の扱いが雑すぎる」(20代男性)

   もともと「生活のため」だけに働いているだけだから、嫌いでも問題ないと、会社や仕事への愛着を諦めている20代男性もいた。

企業合併が社風や評価制度の摩擦を起こす

   自由回答を見ると、会社が嫌いと答えた人の中に「会社の合併」を経験した人が少なくないのも興味深い。ある係長クラスの女性は、

「今年度をもって親会社に吸収合併されることが決定した。親会社の仕事のヴィジョンや体制、社員への待遇に、いいと思える部分がない」

と嘆いている。異なる会社がいっしょになることで、人間関係や社風、評価制度といった要素に矛盾や摩擦が起きることが多いのかもしれない。

   調査元のJTBモチベーションによると、事業環境の変化で、関連会社間の再構築だけでなく、ライバル関係にあるまったく別の会社同士が合併するケースもあり、社員のやる気に影響を与えているという。

「これまで『打倒A社!』と気勢をあげてやってきたのに、その会社に吸収されてしまい、アイデンティティを失ったようになる人もいます。ライバル会社が自社より大手だったり親会社との合併だったりすると、評価制度が恣意的に運用され不公平な待遇となり、モチベーションを大きく下げる人もいます」

   ビジネスでやっているのだから、別に愛着までもたれなくてもよい、と思う経営者もいるのかもしれないが、仕事のクオリティや従業員の生産性にも影響を与えかねず、無視することはできないだろう。