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「保険商品の比較」に乗り出したファイナンシャル・プランナー 独自サイトを立ち上げ

   ファイナンシャル・プランナー集団のエフピーリサーチアンドコンテンツ(FP-RECO:エフピーレコ)が、11月30日に「保険商品の比較サイト」を開設した。中立的な視点で保障内容や保険料を比べており、業界初の試みとなる。各商品の特徴とおすすめポイントについて、FPが詳しいコメントを添えている点も分かりやすい。

   保険商品の比較広告は、2007年の「保険会社向けの総合的な監督指針」で実質的に解禁されている。しかし業界では「保険料の差はサービスや商品性の違いの表れ。安さを際立たせる比較広告は安易にすべきでない」という大手の反発もあり、半ばタブー視されていた。

幅広い対象からピックアップされた商品を客観的に比較

その商品を推薦しているFPの数も分かる。推薦者ゼロの商品もある
その商品を推薦しているFPの数も分かる。推薦者ゼロの商品もある

   保険商品の比較サイトは、以前からしばしば見られる。ただし保険代理店が運営しているものが多く、「公平な比較が行われていない」という批判がある一方で、保険会社自身が監督指針に沿って開設したものはなかった。

   ここに果敢に切り込んだのが、今年6月のオリックス生命の試みだ。「強みも弱みも全てお見せします。」と題し、他のネット型生保との比較を新聞広告や自社のウェブサイトに掲載。比較対象を「A社」「B社」と表示したが、ウェブではライバル会社のサイトにリンクを張ったことから「イニシャルでやる意味がない(笑)」と話題になった。

   現在、国内で営業している生命保険会社は40社以上。自力で全ての商品を研究することは簡単ではない。オリックス生命の比較広告は公平性が担保されているとはいえ、比較対象が少なく、特定の保険会社が運営している点が気になる人もいるだろう。

   その点、個人の資金計画とリスク管理の専門家であるファイナンシャル・プランナーが作成した比較表は、対象商品も幅広く、判断材料のひとつとして信頼できそうだ。

   FPの実名・顔出しでオススメポイントが書かれているのも、利用者にとって透明性が高いメリットになる。不公平な判断をしていれば、他の専門家から「この意見はおかしい!」と激しい批判にさらされてしまう。

   具体的に比較表に掲載されているのは、国内で購入できる主要商品から、「定期保険」の7社と、「医療保険(終身型)」の8社の商品。定期保険で見ると、やはり大手よりもネット生保の商品の方が、保険料が安い傾向にある。

FPのオススメコメントがつかない商品があった

   保障内容が上回っているのに、保険料が割安なネット生保の商品もある。大手は「人的なアフターサービスの質など数字に現れないものがある」と主張しているようだが、ネット生保も「申込みをネットに限定する代わりにコールセンターでの対応を充実しており、サービス面でも劣らない」と譲らない。

   タバコを吸わない「非喫煙優良体」だと、保険料が標準体の半分になる商品もある。このような多様な商品が存在することも、客観的な比較で初めてよく分かることだ。「対面での相談の可否」など未掲載の情報項目もあるが、今後の追加に期待したい。

   医療保険(終身型)は、判断要素が複雑になる。30歳男性で保険料が最も安いオリックス生命、60歳女性で最も安いメットライフアリコ、七大生活習慣病など付加できる特約が多いNKSJひまわり生命など、利用者のニーズに合わせた選択が必要だ。

   自分で選ぶのが難しい人には、近所に在住する「ご当地FP」の顔写真入り紹介を見ることができる。相談はほとんどが有料だが、初回割引を掲げるFPもいる。何年にもわたって保険料を支払うことを考えれば、相談料を支払ってでも自分に合った商品を買った方がよいという考えも十分ありうるだろう。

   なお、比較表にはFPのオススメコメントがつかない商品もあった。残酷だがコストパフォーマンス面での優位性がなかったらしい。FP-RECOでは特定の保険会社からの広告は受けておらず、これからも中立的な視点を守っていくそうだ。