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「まだなにも決まってはいない。」 東京五輪決定当日に煽ったナイキのウェブサイト

   2020年の夏季オリンピック大会の開催地が2013年9月8日、東京に決定した。これに合わせて、スポーツ用品を扱うナイキが「まだなにも決まってはいない。」と掲げたサイトを立ち上げて話題になっている。

   サイトには、「なにかになりたい?だったら、きみがなればいいだけ」「明日。七日後。七年後。どんなきみになるかは今日のきみが決める」などと、将来の可能性を信じる言葉が並んでいる。

熱い言葉に「グッときてしまった」「少し目が潤んだ」

決定の日に「まだなにも決まってはいない。」と煽るナイキのサイト
決定の日に「まだなにも決まってはいない。」と煽るナイキのサイト

   これを見た多くのネットユーザーは、熱い言葉に感動したようだ。

「ちょっとグッときてしまった」
「一瞬考え込んだ。 一瞬でもふと立ち止まって考えさせられる広告って効果絶大」
「広告ごときに心を動かされるのは悔しいが、少し目が潤んだ」

   日々思うようにいかない生活を送っている中で、「挑みつづけるかぎり負けはない」と背中を押されれば、勇気も出てくるというものだ。

   このサイトには「七年後、どんなきみになるかは、今日のきみが決める。きみはどうなりたい?」と書かれた投稿フォームを設け、そこからツイッターやフェイスブックに将来の夢を書き込むことができるようになっている。

   確かにこれから一生懸命頑張れば、選手として東京五輪の舞台に立つことができる人もいるはずだ。刺激を受けたアスリートも多い。

「サッカー五輪代表!! 絶対になる!!」
「サッカー五輪代表のオーバーエイジ目指しますw」
「現役復活して日本代表のチームリーダー?それもおもしろくてありだな笑」
「世界に通用する技術を身につけて車椅子バスケットボール日本代表になりたい」

   スタッフとして五輪に関わりたいという人も、「日本代表を支える日本代表トレーナーになりたい」「オリンピックメディカルスタッフの一員として 選手の方々をサポートできるような人になりたい!!」などと決意を述べている。

タイミングのよい「便乗広告」のうまさに脱帽

   ささやかな個人的な夢をつぶやく人もいる。「結婚」「就職」に関する希望が多いが、それだけ叶えにくい願望になっているということだろうか。

「しあわせな結婚をしていたい」
「せめて彼女か妻がいてほしい(超意識低い」
「誰かが隣で笑っていてほしいぞ」
「たぶん就職してるだろうね。独立して会社を設立する準備でもしていたらいいな。それと婚約者もいるとなおいい」

   「聖火ランナーになってトーチを持って走りたい。よし、明日から走るか!」とつぶやいた人は、練習用のランニングシューズを買いに行くとき、思わずナイキのシューズを選んでしまうのではないか。

   ところで、このサイトには日の丸を連想させる赤い半円が描かれているものの、どこにも「東京五輪決定」とは書かれていないどころか、「オリンピック」の文字もない。なのに多くの人が、タイミングのよさから五輪をイメージしている。

   ナイキはこの手の「便乗広告」のうまさには定評がある。ロンドン五輪の際にも「一業種一スポンサー」の枠をアディダスに奪われたものの、地下鉄の構内をナイキのポスターで埋め尽くし、ナイキを公式スポンサーだと思い込ませる作戦に出た。

   「まだなにも決まってはいない。」というのは、今度こそナイキが公式スポンサーとなろうという決意の表れ、なのかもしれない。