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好き嫌い多い、ヒステリック… 女性社員の「昇進バブル」で「感情的上司」増える?

   安倍政権が「日本再興戦略」の中で「女性の活躍が成長戦略の中核をなす」と述べたことを受けて、企業の間で「女性活用ブーム」が起こる気配が見られる。

   小売り大手イオンの岡田元也社長は今年5月の株主総会で、女性管理職の割合を現状の7%程度から2020年までに50%に引き上げる大胆計画を発表。経済同友会も、20年までに女性管理職の比率を現状の10.6%から30%とすべきという提言をまとめている。

女性上司は「働きづらい」43%。理由は「感情的だから」

いまどき「女の下で働きたくない」という人はいないだろうが
いまどき「女の下で働きたくない」という人はいないだろうが

   こうした官民一体の動きに一石を投じているのが、おじさん読者を抱えるビジネス雑誌だ。日経ビジネス2013.8.26号の特集タイトルは、「女性昇進バブル 我が社の救世主か疫病神か」と刺激的である。

   週刊東洋経済2013.8.31号でも「ワーキングマザー 職場のお荷物か?戦力か?」という特集を掲げ、中間管理職層に「働くママを使えますか?」と問いを突きつける。

   日経ビジネスでは「女で地獄と化す職場」と題したルポを掲載し、女性活躍に伴う職場のトラブルを紹介している。登場するのは、あらぬ嫉妬やライバル心を起こして若い女性部下にきつく当たる女性上司や、女性優遇の犠牲になり「男性差別」を受ける優秀な男性社員。

   男性のように働く「バリキャリ女性上司」から「私のように働きなさい」と言われ、「自分にはムリ」と意欲を失う後輩もいれば、「女性が働きやすい職場づくり」の支援制度にぶら下がる社員が経営の重荷になっている会社もある。本格的な女性登用を前に、職場ではすでに問題が起きているようだ。

   特集内のアンケートでも、女性上司との仕事に「働きづらさ」を感じていると答えた会社員が約43%いた。理由の1位は「感情的になる傾向があるから」(69.6%、複数回答)。17.4%が「女性の部下に厳しい」という特性を指摘している。

   自由回答でも「好き嫌いを出しすぎて、周りがついていけない」「特に若手に対してヒステリックに対応する」あるいは「ヒステリックな発言が職場の空気を悪くした」など、やはり感情面を理由とした問題点が多く寄せられたという。

男性部下に「女性上司への先入観」はないか

   もちろん、これまでもすぐ感情的になる男性上司も少なくなかった。パワハラやセクハラで部下を休職や退職に追い込む「クラッシャー上司」の問題が指摘されて久しい。

   ただ、男性社会の中で頭角を現した女性の中には、男性以上にモーレツな働き方をする人も多い。そこに女性ならではの感情的な細やかさが逆に作用すると、「いつまでも根に持つ」「説教がネチネチとしつこい」などと言われるのかもしれない。

   女性上司に同情的な意見もある。キャリアアドバイザーの細井智彦氏は2012.03.26付け「日刊SPA!」で、職場のトラブルは「女性上司に対して男性が持つ先入観も原因」と指摘している。上司が女性であることに対して部下の固定観念が凝り固まっていると、少し怒られただけで「女性だから」と突っぱねてしまうというのだ。

   現代は「男性優位社会」で発展してきた日本を、一部軌道修正しようとしている過渡期と言えるだろう。なかば無理やり出世させられた女性だって、男性上司以上に不安を抱えているに違いない。

   男性の部下も細井氏の指摘のように先入観を捨て、盛り立てていく必要があるのではないだろうか。嫉妬まじりに女性上司の足を引っ張るのではなく、ときには男性上司に対して行うのと同じ程度に性格や好みを把握して、ときにはおだてやゴマスリだって必要なのかもしれない。