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「学歴フィルター」は明らかに存在する 「門前払い」就活生に突破口はあるか

   就活で企業がうたう「学歴不問」は建前なのか。一部のメディアは、学歴で就活生をふるいにかける「学歴フィルター」が今も存在すると報じている。

   実際に大学のレベルごとに人数を振り分けていた、下位校と位置付けられた大学の出身者は説明会を予約できない、といった報告がある。

第2、第3のフィルターを用意する企業も

   2014年1月15日付の「ダイヤモンド・オンライン」は、20代の社会人200人を対象に「就活で学歴差別を感じたことがありますか」と尋ねたところ、45%が「ある」と答えたと報じた。具体的には、就活支援サイト上にある企業のセミナーの予約画面で、大学によって「空席」「満席」が違っていたり、一定レベルの大学からでないと受け付けを拒まれたりしたとの事例が書かれている。さらに会社説明会では、「低学歴」とみなされた就活生は質問機会を与えられなかった、質問はしたが最後まで話を聞いてもらえなかった、という「苦情」が寄せられた。

   同様の話は、「サンケイビズ」2013年12月9日付記事にもある。説明会予約で、学生の大学群別で枠を調節するというのだ。100人の募集に対して、例えば旧帝大が40人なのに対して中堅私大20人と割り振れば当然、中堅校の学生にとっては不利だろう。選考過程でも学歴フィルターは存在するとし、通常の日程よりも早い段階で事実上の選考を実施、内定を出すケースもあるそうだ。

   これを「差別」ととらえるか、それとも「区別」なのかという議論はいまもあると指摘するのは、人材コンサルタントの常見陽平氏。就職ナビサイトの普及により応募数が肥大化している影響もあるという。手法もまちまちで、全面的に学歴フィルターをかけている企業もあれば、最初のフィルターを通過した後は平等に選考する企業、通過しても次のフィルターを用意している企業といろいろのようだ。第2、第3のフィルターがかかる場合は「同じ大学の就活生が競争相手になります」。上位校、中堅校、下位校という分類ではなく、A大学が何人、B大学が何人と大学ごとに枠がはめられるからだ。

   フィルターを使うことで、大学群ごとにセミナーの内容や参加可能人数、回数の違いが出てくる。リクルーターが対応するのは基本的に上位校の学生のみ、偏差値や大学名で初期段階のエントリーシート(ES)や面接を通過できるかどうかを決めるという「あからさま」ともいえそうなものも出てきた。

入社できても「合わない」「ついていけない」現実

   早い段階で学歴フィルターに引っかかると、実力を発揮する前に門前払いされてしまう。事前の対応策として常見氏は、「自分の大学の就職実績を確認する。自分が希望する会社に過去数年、何人就職しているか。あまりに人数が少ないと、よほどその人が優秀だったか『コネ入社』の場合もあり得ます」と話す。就職四季報を活用して、採用実績を確認するのもよい。

   だが大学名ではじかれてしまうのであれば、どうしようもないのか。「是が非でもこの会社に」というターゲットがある場合、「人事は多様性にも配慮しますから、『雑草』『ソルジャー』アピールするのもひとつの方法かもしれません。大学名からイメージされるよりも優秀と思わせるのも効果があるでしょう」と常見氏。初期選抜となるESやSPI対策を怠らず、何とか最初の関門を突破するよう全力を尽くす。現実問題として「コネ」がものをいう場合もある。

   ただし、希望の就職先が果たして自分の活躍できる場があるかを見極めるのも重要だ。「せっかく入社しても、合わない、能力的についていけない、というケースがあるのが現実です」(常見氏)。