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海外での地図作りは「相手の立場になって」 カンボジアのカレー屋で気付いたコト

   日本でレストランに行くときに、よく確認するのが地図です。

   東京などの都心部であれば、最寄りの駅からの地図。地下鉄○○駅の×番出口をでて…という形で、確認すれば、大体たどり着けます。

   しかし、海外にでると、この常識は結構変わってくる。今日はそういうお話です。

   例えば、アメリカのサンフランシスコなどの大都市の場合、地下鉄はそれほど発達していません。バスやタクシー(サンフランシスコだとケーブルカーもありますね)が主な交通手段ですが、ここで住所を伝えるときは、通りの名前を伝えるのが一般的です。

   Clayストリートと、Scottストリートのクロスしたブロックの…と伝えると、あっという間に場所を伝えられ、タクシーで行くときなどもスムーズです。

   これは、街が碁盤の目のように作られている街で非常に有効です。

「地図が読めない」「英語が分からない」「道を知らない」の3拍子

   では、地下鉄が発達しておらず、街が碁盤の目にもなってないような所だとどうでしょう?インドのバンガロールの会社の名刺などには、住所に加えて「○○銀行ビルのうしろ」などといった、目印となる大きな建物との関係性が書いてあります。現地の人は「ランドマーク」と呼んでおり、場所を伝えるときにランドマークを伝えるのが常識のようです。

   さて、私が今、サムライカレーというカレー屋をオープンしたカンボジア・プノンペンではどうでしょう?

   プノンペンの街中の主な交通手段はトゥクトゥク(バイクで荷台を引っ張る乗り物)かバイクタクシーです。自動車のタクシーはめったに走っていません。

   これらの運転手は「地図が読めない」「英語が分からない」「道を知らない」の3拍子そろった難敵です。

   街一番の大きさの市場「セントラルマーケット」と伝えてもたどり着けないこともあるくらい、乗りこなす難度が高いのですが、代替手段もありません。

   カレー屋を作った際に、お客様に間違いなく来てもらうために大切なことは、彼らとのコミュニケーションだと思い工夫しました。

   サムライカレーは、BTKプラザという大きめのショッピングモールの側にあります。ランドマークは間違いなくこれです。BTKプラザといっても知っている人が少ないことは実証済みですので、正式名称のボントラバイプラザという名前を地図にクメール語で書き込みます。

起業体験研修サムライカレープロジェクト実施中

   また、ボントラバイプラザを知らない運転手も多いので、ストリートも伝える必要があります。プノンペンでは多くのストリートに数字が振ってあるのでその数字を伝えればOK。目の前を通っている466ストリートの名前を大きくします。

   ランドマークと、ストリートを明確にして、暗い道でも分かりやすいよう大きな字で=写真1=、そして英語が読めない人のためにクメール語で書いた地図=写真2=、完成!

写真1:英語で
写真1:英語で 写真2:クメール語で
写真2:クメール語で

   この地図をレストランカードやスタッフの名刺に入れたところ、お客様から「すんなり着いた!」と、実にご好評いただいています。

   単なる地図なのですが、盛り込むべき情報は国、都市によって全然違います。

   来てくれる人、道を伝えなければいけない人の立場になって、考えると喜んでもらえる。小さな事ですが、こんな風に日々研究しながら、カレー屋、やってます!

   今、参加者全員でカンボジアでカレー屋を作る、起業体験研修サムライカレープロジェクトを実施中です。2014年2月24日から3月23日までの第三期生、3月17日から4月13日までの第四期生を募集中ですので、ご興味のある方は、こちらをご覧ください。(森山たつを)