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「こんな会社辞めてやる」と愚痴ばかり そんな社員に限ってしがみつく現実

   「周りはロクに仕事もせず定時で帰るヤツばかり。なんでオレだけ毎晩残業なんだ」。「こんなつまらない仕事、私じゃなくてほかの人にやらせてよ」。会社や業務に対してこんな不満を抱える人は、少なくないだろう。

   なかには我慢できず、「こんな会社辞めてやる」と口走るケースもあるかもしれない。だが爆発した怒りを周りにまき散らさない方が得策のようだ。

「認められたい」「話を聞いてほしい」という心理?

「辞めてるやる!」と言ったものの…
「辞めてるやる!」と言ったものの…

   「ダイヤモンドオンライン」2014年1月31日付の記事では、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、ある大手メーカーに勤務する人物を事例に挙げた。研究開発部門で有望視されていた人材だったが、ある時期から頻繁に「こんなダメ会社は辞めてやる」と周囲に漏らし始めたのだという。これを毎度聞かされる職場のメンバーは、上司に「雰囲気を悪くしている」と相談。上司は問題の人物を注意していったんは収まったが、その後も言動を改めようとはしなかったそうだ。

   相原氏はこの事例を引き合いに、「辞める」を繰り返す人の心理状態を考察した。つまり「君に辞められては困る」「辞めないでほしい」と誰かが言ってくれるのを待っている、さらに本人は会社を去るつもりは毛頭なく、むしろその会社の中で「認められたい」と思っている、というのだ。

   「私の会社に会社の文句ばかり言う人がいます。そういう人ほど辞めないのは、どうしてですか?」。2011年8月9日、Yahoo!知恵袋にこんな質問が載っていた。「与えられた仕事でさえもあまりできない人」なのに会社に対して文句を口にしていると、投稿者は腹を立てている。これに対してある回答者は「うちの会社にもそういう人がいます」。どこの会社にも見かけるタイプだが「だからといって、辞めたいのかというとそれはまた別の話」と分析する。ネガティブな発言ばかりするのは「話を聞いてもらいたいからではないでしょうか」と推測しつつ、聞かされる方はたまらないと本音を漏らしていた。

   ほかの書き込みを見ても、いつも不満タラタラという社員に同情する声は見当たらない。「疲れた、辞めたい、やる気ない」などと会うたびに言われてウンザリ、「さっさと辞めればいいのに」と突き放す。イヤな話ばかりでは気分が落ち込むし、職場の士気にも影響するからなるべく近づきたくないというわけだ。

転職理由に「給与不満」「残業多い」などネガティブ要素も

   文句を言い続ければ職場で理解され、主張が受け入れられるかといえばそうではないようだ。先の「ダイヤモンドオンライン」の記事で相原氏が挙げた事例では、いつも「辞めてやる」と吠えていた人物は10年以降経過しても会社に居座り続け、本流から外れたキャリアを歩んでいるという。

   相原氏は、文句ばかりの人について「周囲からはネガティブな人と見られ、上司など上の立場の人たちからは、『決してリーダーにはできない人物』と見限られます」と断言する。ところが当の本人は一向に気づかず、いくらモノ申しても認められないことにますます苛立ちを募らせ、不満を吐き続ける悪循環となるわけだ。

   転職情報サイト「DODA」が発表した2013年下期の「転職理由ランキング」を見ると、首位は「ほかにやりたい仕事がある」が12.9%とポジティブな理由だった。だが2位以下は「会社の将来性が不安」「給与に不満がある」「残業が多い/休日が少ない」とネガティブ要素が続いた。10位にも「会社の評価方法に不満がある」が入っており、ステップアップというよりも「現状から逃れたい」という意識で転職を考える割合は少なくないようだ。

   もっともネット上には、「辞めたい」を繰り返していたらリストラされ、その後は会社を転々とするがいつも文句をつけては同じように「辞めたい」ばかり、という夫に悩む妻の投稿があった。不満を抱えていたとしても、「大人の対応」ができずに吐き出してばかりでは、結局は自分にはね返ってきそうだ。