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どうなる「残業代ゼロ」 反対派VS賛成派の論点

   「残業代ゼロ」のキーワードが、ツイッターなどで高い関心を集めている。政府の産業競争力会議での議論をめぐる一部報道を受けたものだ。

   「ブラック(企業)を助長する政策が出てきちゃった!」などと懸念する声が相次いだり、「生産性があがっていいんじゃないの?」と歓迎コメントが寄せられたりしている。もっとも、報道を疑問視する声もある。

ブラック企業を助長?生産性があがる?

   関心が高まったきっかけは、「『残業代ゼロ』一般社員も~」「『残業代ゼロ』厚労省懸念 政権、前のめり~」などと報じた朝日新聞記事(2014年4月22、23日配信)で、安倍晋三首相も出席した、22日の会議をめぐる内容だ。「『残業代ゼロ』一般社員も~」の記事は、配信後数日で7400回以上ツイートされるなど注目を集めた。

   ツイッターでは、

「安倍政権の労働法制大改悪は『生涯ハケン』『正社員ゼロ』『残業代ゼロ』…。死ぬほど安く働かせようという意図が見え見え。こんな社会に未来なし!」
「ブラックを駆逐するどころか、ブラックを助長する政策が出てきちゃった!」
「『残業代ゼロ』以外の(働き過ぎ防止策などの)要素はすぐに形骸化するだろうよ」

などと労働者の立場を心配する声が数多く寄せられている。

   なかには、

「生産性があがっていいんじゃないの?サラリーマンの中には残業代を稼ぐために日中の業務で手を抜く人もいますからね」
「一般論として『労働時間の長さで賃金を決める制度』が、ホワイトカラーの働き方にはなじまない」

といった擁護論も見受けられた。

「成果重視」論の行方

   しかし、同日の会議を伝えた他社の報道、たとえば「労働時間規制緩和を 成果重視へ~」(日本経済新聞、22日夕配信)、「安倍首相:労働時間の制限緩和 検討指示『成果で評価を』」(毎日新聞、22日夜配信)などでは、本文でも「残業代ゼロ」といった表現は出てこないこともあり、朝日報道に対し、「(世論を)煽っている」との批判も一部で出ている。「残業代ゼロ」となる労働者の対象や、制度導入の前提などで解釈の違いがあるのか、現状でははっきりしたことはよく分からない。

   いずれにせよ、「気がついたら、ほとんどの会社員の残業代はゼロになり、『成果主義』の名のもとに、長時間労働に歯止めがかからなくなった」なんてことにならないよう、しっかり議論の行方を見守りたいものだ。(NF)