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ヴァーチャルアシスタントの衝撃 「かおりさん」はこんなに働き者だった

   今春から、あまりに仕事が集中してきたので、手が回らなくなり、人を雇おうと考えていたのですが、ヴァーチャルアシスタントというものをみつけました。

   ヴァーチャルアシスタントというのは、オフショアの人件費のやすい場所にあるスタッフが、リモートであらゆる仕事を請け負ってくれるようなサービスです。英語ならばインドに古くから多くのサービスが有るのですが、今回日本語対応のサービスができたので早速つかってみました。

ビジネスの用件を頼むことができる

あの件、よろしく
あの件、よろしく

   「Kaori-san(かおりさん)」というもので、もっとも一般的なサービス・プランだと、月に15件の用事を依頼することができ、8980円という価格設定です。

   結論からいうと、これはキラーサービスです。使えます。

   私のようにオフィスを廃止してしまって、ベトナムと東京を行き来しながら、リモートで仕事をしている人にとっては、非常にコストエフェクティブでした。

   いままでこの手のコンシェルジェサービスを使ったことがあるひとは、たいがい失望していたとおもいます。多くのサービスが旅行や食べ物系のサービスで、お店の予約や、手配を中心としたもの。お店の予約くらいは自分でやっても面倒くさくないですし、旅行の手配でも結局agodaやexpediaのほうが的確で安い。結局、お金はどうでもいいから、とにかく手間を省きたいというブラックカード保有者レベルを対象にしたものでした。

   かおりさんの場合は、そうではなく、ビジネスの用件を頼むことができて、個人事業主や、中小企業のひとにもメリットがあるものになってるところが違います。 試しに、どこまでやってくれるのかという実験を兼ねて、いろいろなものを依頼してみました。

「米国のカスタマーサービスに直接電話かけてそのあたりきいてくれ」もOK

「香港にビットコインATMがあるときいたが、場所をおしえてほしい」

→設置場所2か所のgoogleマップへのリンク。さらに、営業時間、運営会社のコンタクト、関連記事までもらった。

「美術作品用に、作品名をほった金属プレートをつくりたいので、業者をしらべてXXX円以下で発注してくれ」

→予算内のものをみつけてきた

「製品リサーチをしてるんだけどAとBの製品の違いがわからないし資料もないから、米国のカスタマーサービスに直接電話かけてそのあたりきいてくれ」

→英語の問い合わせも問題なくできて、調べてくれました。

   込み入った用件もちゃんとやってくれるレベルなので、正直驚きました。また、日本語だけではなく、海外の銀行やサービスへも、英語にくわえ、中国語での問い合わせができるので、私のようなアジア圏に住んでいるひとにとっては、大変助かりました。

   どれも自分がやるとなると小一時間かかるような用件です。月に15件依頼するとして計算すると、15時間分の時間の節約になり、つまりまる2日分の雑用がなくなって、8980円なわけです。

   こういうアウトソーシングサービスはどんどん進んでいきますね。クラウドソーシングなどで、安く仕事が発注できるようになったのに加えて、ヴァーチャルアシスタントがあれば、多くのことがアウトソーシングできてしまいます。

日本国内の人材はますます厳しくなる

   しかもクオリティがいいですから、これでは、日本国内の人材はますます厳しくなる。仕事が海外に移転してしまうという現象を目の当たりにするようなサービスです。企業はむかしからこういうことをやっていましたが、個人ベースでも海外の安い労働力を利用できる時代になると、考えさせられますね。

   もちろん、日本国内でないとできない仕事というのは、残ります。ヴァーチャルアシスタントに頼めない仕事としては、当たり前ですが、物理的な作業が発生するものや、お金の支払です。役所に何かを取りに行く。ハンコを押す。書類を印刷して送る。そういうことはヴァーチャルでは頼めない。

   しかし、役所に何かを取りに行く、ハンコを押す、書類を印刷して送るというのは、非効率の代名詞のようなもの。非効率なものを非効率で温存すればするほど、無駄で面倒な仕事が発生して、それで食っていけるひとも増えるんでしょうね。

   多くの人が心底、効率化が嫌いなのはよくわかります。効率化したら、インドや中国に仕事をもっていかれ、国内が空洞化してしまうからですね。(大石哲之)