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イクメンを襲う「パタハラ」 男性の育児休暇は「単なるサボり」?

   塩村文夏都議が2014年6月の議会で「早く結婚した方がいいんじゃないか」「自分が産んでから」などのやじを受けた「セクハラやじ」問題。その騒動は国会にまで飛び火し、今年4月の衆院総務委員会で上西小百合議員に発せられたやじにも追及が及んだ。

   これらの「やじ」はいずれも、晩婚化など少子化問題に関わる発言中に発生しており、若い女性議員が少子化対策を推進しようとしているところへ、センスのない錆びついた横槍が入ったといえる。しかし、こういった発言を日常的に受けているのは女性だけではないらしい。子育て世代の男性にも、横槍が入ることがあるようだ。

「他の従業員にとっても迷惑な事」の声も

ママはお仕事、パパと一緒
ママはお仕事、パパと一緒

   少子化対策に逆行するような行動や発言は、会社でも発生している。

   質問サイト「Yahoo! 知恵袋」にはこんな投稿があった。「男の育児休暇は必要ないですよね?」。育児の為に仕事を休むのは「企業にとっては給料泥棒」「他の従業員にとっても迷惑な事」。「イクメンって単なるサボりじゃないでしょうか?」という質問だ(2014年5月31日)。

   回答には「少子化がどれだけ悪影響を与えているか、考えてみましょう」「そんな事、言ってる自体ダメ」「子供を育てるのも重要な仕事」「欧米では男性の育休取得は当たり前です」などの意見が寄せられた。各回答者の語気は荒く、「少子化が進むのもあなたみたいなバカがいるから」との書き込みもあった。

政府は「男性育休取得率13%へ」を掲げるが…

   ユーキャンが6月10日発表した「男性の育児休暇取得に関するアンケート」では、男性ビジネスマンを対象にネットで調査を行っている。調査結果によると「会社に育休を取得しやすい制度があるか」との質問に「ある」と答えたのは、育休取得経験者の71.4%、育休取得未経験者は31.0%。男性が育休を取得するには、まず会社の制度が充実していることが前提となるということだろう。

   そして育休を取得する際の障壁についての質問には、育休取得者・未取得者ともに「職場の理解が足りない」との答えが最も多く、半数以上がこの回答をあげていた。

   この調査の解説では「パタニティ・ハラスメント」(パタハラ)という言葉が紹介されている。パタニティとは父性のことで、「男性が育児参加を通して父性を発揮する権利・機会を侵害すること」を指すという。男性が育休を取ることを妨げるような行為も「パタハラ」だ。

   先に紹介した、「男性の育休は単なるサボりだ」というような言葉も「パタハラ」と言えるのかもしれない。子育て中の男性の気持を萎えさせる発言であることは間違いない。

   現在の男性の育休取得率は2.03%(厚生労働省「雇用均等基本調査」、2013年度速報)。政府の「新成長戦略」は、「女性の活躍推進」を1つの柱とし、2020年までに男性育休取得率を13%にすることを目標にしている。ずいぶん控えめな目標だとの指摘もあるが、「セクハラ」「パタハラ」が横行しているこの状況では、この数値さえ達成できるかどうか怪しいところだ。(RH)