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「文系女子の志望業界」でマスコミが「初」の1位 これって不思議?当然?

   「文系女子の志望業界」で、今回初めて1位となったのは・・・「マスコミ」、っていったいなぜ?――人材紹介・採用コンサルティングなどを行うディスコが発表した「2016 年度 日経就職ナビ就職活動モニター調査結果」(15年1月22日)によると、文系女子の志望業界の首位は、調査開始以来「初めて」、「マスコミ」が占めた。

   「マスゴミ」など「ごみ」とひっかけてマスコミを揶揄する言葉も浸透し、昨今は新聞・雑誌の部数低迷、テレビ離れ・本離れを伝えるニュースも多く見かけるなか、今回の「初の1位」はどんな情勢の変化を反映したものなのだろうか。

全体1位の「銀行」を2位に抑え

文系女子で「初」の1位に
文系女子で「初」の1位に

   調査は16年3月卒業予定の大学3年生1460人(文系男子422人、文系女子449人、理系男子371人、理系女子218人)を対象に、15年1月1日から1月7日にかけてインターネットを用いて行われた。

   1月1日時点での志望業界を40業界の中から5つまで選ぶ形で尋ねたところ、全体では、「銀行」が21.1%で最も多く、「水産・食品」の20.9%、「医薬品・医療関連・化粧品」の19.7%、「素材・化学」の18.7%、「官公庁・団体」の16.8%と続いた。「マスコミ」は15.4%で7位だった。

   文系女子だけの結果でみると、全体で1番人気だった「銀行」を2位(25.6%)におさえ、「マスコミ」が27.5%で1位となっている。これは、文系女子以外には見られない傾向で、文系男子では4位(18.7%)、理系女子で11位(9.4%)だった。理系男子では、20位までのランキングに入っていない。

   今回の結果と比較可能な過去の「1月調査」における文系女子の「マスコミ」の順位をみると、14年2位、13年3位(小数点1位までなら同率2位)、12年2位、11年3位だった。いずれも上位ではあるが、「1位」となったのは今回が初めてだ。

広告代理店人気の存在

   上記のように以前から上位常連とはいえ、「斜陽産業」との指摘も出て久しいマスコミ業界が、ここに来て文系女子への人気度をアップさせ、1位を獲得した要因は何なのだろうか。

   ヒントとなりそうなデータが「マイナビ大学生就職企業人気ランキング」にあった。

   15年卒のランキング(14年3月27日発表)で上位100企業にランクインしたマスコミ系の企業は、文系で5位に電通、6位に博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ、11位に講談社、20位に集英社、38位にKADOKAWA。新聞・テレビでは、40位にようやくNHKが入る。

   文系女子のランキングでも、6位に電通、7位に博報堂/博報堂DYメディアパートナーズと、やはり広告代理店が上位に入っている。さらに、11位は講談社、15位は集英社で、32位にNHK、33位にKADOKAWA、43位に小学館、48位にポニーキャニオンと続く。以下、64位にフジテレビジョン、71位に日本テレビ放送網、73位に朝日新聞社、99位にアサツー ディ・ケイという結果だった。

   新聞・テレビよりは、広告代理店や出版社、特に広告代理店の人気が、「マスコミ志望」の順位を押し上げた可能性があるようだ。前年調査(14年卒対象、13年3月発表)と今回を比べた範囲では、電通は9位から6位へ、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズは15位から7位へと上昇している。博報堂の方は、前々年から前年との比較でも「12」もランキングが上になっており、2年で「20」も順位が上がっている。テレビ・新聞・出版社の各社は、横ばいや微増、微減などで、特定の傾向はうかがえなかった。

   各就活情報サイトの人気企業ランキングは、例年2月末頃から発表され始める。今年のマスコミ人気は、果たして広告業界人気によるものなのか、はたまた新聞・テレビがここにきて息を吹き返しているのか、要注目だ。(MM)