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日本を息苦しくする 「俺ルール」の正体

   私の周りで日本人のマナーに関するニュースが話題になっていました。

   「会社を休む理由、これってセーフorアウト!? マナーの専門家に聞きました」(キャリアコンパス、2015年8月14日配信)

   会社を休む理由に関して、これはマナー違反、これはOKと判定する記事です。 私の周りでは「有給休暇は法律で決められた権利。そもそも理由を問うこと自体が法律違反」という意見が多く、私も同意です。

カンボジアの罰金事情

警察官も国によって・・・
警察官も国によって・・・

   日本人の一部の人は、法律とか関係なしで、自分の感覚だけで決めた「俺ルール」を「マナー」と称して他人に押しつけたがります。この「俺ルール」が増えることが、多くの人を縛り付け、息苦しくさせ、日本独特のギスギスした空気を生んでいると思います。

   その点、私が住んでいる「自由すぎる国」カンボジアはレベルが違います。 いろいろなルール・法律があいまいであり、かつ、多くの人が守っていません。なにせ、道を走っているバイクの8割以上が無免許だと言われています。

   警察官はこれを特に取り締まるわけでもなく、時々外国人を見つけてはいちゃもんをつけ、罰則金をとり、自分の懐に入れます。私の友人でも、日本の国際免許証を持っていたけど、警察官が「俺はこんなもの知らない」と言って罰金を取ったり、同じ違反なのに罰金が毎回違ったり(そして交渉すればディスカウントされる)という事態を体験した人が多数います。

   さすがに、カンボジア政府もこの様なデタラメにしびれを切らしたのか、現地の報道によると、警察官の罰金に関して新しいルールを作りました。それが「(2016年から)警察官がとった罰金は7割はとった警察官の給料とする。残りの3割が警察署と国庫に納められる」というものです。

「ルールっていったいなんだろう?法律ってなんだろう?」

   日本の警察は罰金を取ったときも、直接警察官がお金を徴収することはありません。必ず振込などで納付し、しっかりと国庫に入ります。しかし、カンボジアは、100%警察官個人の懐に入るのを防ぐために、「7割は懐」というルールを作ってしまったのです。

   日本は法律がそれなりにしっかりしており、そこに変な俺ルールを上書きする人が他人に迷惑をかけています。

   しかし、この国(カンボジア)は、まず法律が俺ルールに上書きされた状態で社会が回っており、その俺ルールを少しマシにするために法律が改正されるわけです。それが、法律の番人である警察官によって行われているのですから・・・。

   日本での奇妙な「マナー論」に関する議論でも、カンボジアのデタラメな日常からも、「ルールっていったいなんだろう?法律ってなんだろう?」ということを考えさせられます。

   世界はいろいろ業が深いです。(森山たつを)