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「推薦入学組」は使いものにならない? 企業の言い分に理はあるか

   企業の人事担当者の一部には、受験を経ずに大学生になった「推薦入学組」をあまり良く思っていない人がいるようだ。その理由に迫った記事がネットで話題になっている。

企業側にネガティブなイメージ

受験を知らない自分は、底辺?
受験を知らない自分は、底辺?

   ビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」に「"大学は推薦入学"の新入社員は使えない、は本当か」という記事が掲載されている(2016年4月4日公開)。筆者は、コンサルティング会社セレブレイン社長で、J-CAST会社ウォッチに「『稼げる人』の仕事術」を連載中の高城幸司氏。

   あるメーカーの人事部長の、

「受験を知らない新入社員は駄目。事前に確認して慎重に選考する必要がある」
「『推薦組』は入社2年目ぐらいから伸びないケースが比較的多い」

という発言を紹介するほか、

「積極性がみえない(主体性が低い)」
「我慢ができない(ストレス耐性が低い)」
「融通が利かない(適応力が低い)」
「受験組に比べて成長スピードが遅い」

などと、推薦入学組に対する厳しい評価を列挙している。

   また、実際に面接で「あなたは一般ですか?それとも推薦ですか?」と質問されることも少なくなく、推薦やAO(アドミッションズ・オフィス入試)と答えた学生が採用されなかった例から、学生の間には「採用に不利」という噂も拭えずあるという。

   企業側のこうした評価、対応について高城氏は、推薦組の増加により企業が「肩書だけに頼らずに、人物評価を厳しくおこなう必要が出てきた」と指摘。具体的には、ネガティブなイメージを与える元となる主体性の低さ、ストレス耐性の低さ、適応力の低さを見破るために的確な質問を準備するよう促し、

「『あなたは一般ですか?それとも推薦ですか』などという下世話な質問を避けて、選考を」

と呼びかけている。

   また学生に対しても、推薦だからといって心配せず、「学生時代に能力を高める努力と充実した学生生活を過ごすこと。そして、その経験を語れる準備をしておくこと」を勧めている。

そんな会社、行かんでよろしい

   この記事について、早稲田大学教授の小塩真司氏はツイッターで

「学力試験かどうかなんてくだらない偏見を捨てないと優秀な人物を逃すことになるよ」

とコメント。静岡大学教授の小二田誠二氏も、

「大学でフィルター、入試方法でフィルター。判断停止してるのは誰?」

と、推薦入試というだけで問答無用と評価を下げる企業に対する批判を投稿している。このほか、

「『AOか推薦入学です』と答えると連絡がなくなる企業なんぞ行かんでよろしい。そんなクソな企業ツブれてよろしい」
「推薦だからって落とすのは差別と同じだし、中には受験組よりも努力してる人だっている。面接で一般か推薦かなんて聞く方が頭おかしい。その人物を見抜けない企業側に責任があると思うけどな?」

など、ネットには怒りの声が満ちみちている。

   一方に、

「うちの常務も採用のとき、高校と大学の偏差値の差が大きいときは推薦かどうか聞くし、なるべく避けるって言ってたな」

と、採用現場の内幕を明かす報告もあれば、

「今まで入試したこと無い自分は底辺」
「AO入試だけど一般入試組として答えることにします」

と、すっかり意気消沈したり、卑屈になったりする人もいた。

   もちろん、高城氏が言う通り、採用の場で本当に重要なのは入試における選抜方法ではなく「学生時代に何をしてきたか」だろう。「推薦AO組はいい意味で面接で裏切らないとな」というツイートもあり、「推薦組は使えない」なんて先入観を吹き飛ばすような心意気が、就活生には必要ということかもしれない。(MM)