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インドで突然お金が紙くずに 他国のことと笑えない歴史も

   先日、こんな衝撃的なニュースが流れました

「インドのモディ首相は2016年11月8日夜のテレビ演説で、高額紙幣の1000ルピー(約1600円)札と500ルピー(約800円)札を演説の約4時間後から無効にすると突然発表した」
  • 50ルピー札は大丈夫のようですが
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長期出張者は悲惨なことに

   これは、日本で言うと、安倍首相がいきなりテレビで「一万円札と五千円札はあと4時間で使えなくなるからヨロシク。来月までに銀行に持っていかないと紙くずね」と演説し、本当に即日使えなくなるようなものです。

   「お金は信用を数値化しただけのもの。お札は国がその信用を担保しているだけのもの。国がはしごを外せばすぐに紙切れになる」ということは、いろいろな場所で言われていますが、経済が破綻している国以外で、突然このようなことになる現実を見ると、本当にそのとおりだなと思ってしまいます。

   例えば、日本の会社で働いていて、年に数回インド工場に長期出張する人。彼が現在日本にいて、年内にインド出張の予定がなければ、彼が持っている1000ルピー札と500ルピー札はただの紙切れです。

   もっと悲惨なのが、長期出張や旅行で海外に行っているインド人。彼の家の金庫に入っているお金も紙切れです。誰かにカギを渡して銀行にもっていってもらおうにも、お金どころかその他の金品まで持って行かれそうですし。

   インド政府の狙いの一つは、脱税して貯め込んでいる現金を一網打尽にすることなので、このような形で突然に発表するのは定石です。現金を持つことの避けて通れないリスクであるといえます。

現金でも安全とは言い切れない

   銀行に預ければ銀行が倒産するかもしれませんし、株や金などに投資したら価格が暴落するかもしれない、世の中は諸行無常であり、何をやっても常にリスクはあるということです。日本人は、リスクをとるのが怖いので投資はしない、定期預金大好き、現金大好きとよく言われています。でも、そんな現金もリスクがゼロであるわけではないということを教えてくれるのがこのインドのニュースです。

   「そんなとんでもないことが起こるのはインドだから」とたかをくくっているみなさん、日本でも1946年2月に「政府が突然、ラジオ放送で預金封鎖を発表。同時に、手元に隠し持つことを防ぐため、当時使用されていた紙幣は2週間後に失効する」なんてことがあったんですよ。(森山たつを)