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女性うんざり「自称イクメン」 男性に有利、でも負担減らない

   「育児をしない男を、父とは呼ばない」という厚生省(現厚生労働省)のポスターが登場したのは1999年。安室奈美恵さんと結婚したダンサーのSAMさんを起用し、大きな話題となった。それから時は流れ、「イクメン」という言葉もでき、すっかり定着したと思っていたら......。

男性は加点、女性は当たり前

イクメンに値する行動がともなっているか
イクメンに値する行動がともなっているか

   明治大学商学部の藤田結子教授が毎日新聞に寄せた一文によると、ここにきて女性向けメディアには「自称イクメン」「偽イクメン」「なんちゃってイクメン」などのえせイクメン表現が登場し、女性たちがいらだちを募らせているという(2016年12月9日付毎日新聞)。

   背景には、「イクメン議員」をアピールしながら妻の妊娠中に不倫をしていた元国会議員の一件もあるようだが、「イクメン」という言葉が、一部の男性には有利であっても女性の家事育児をたいして減らしてはいないことに、女性たちが薄々気づきはじめたことが大きいらしい。

   確かにツイッターを見てみると、

「なんか男性が育児や家事をすると加点されて、女性だとやって当たり前で、減点されていく感じ。イクメンという枠組みがすでに『育児や家事は女性がやるもの』という思い込み・きめつけを強化している気がする」
 「よく分かる。『イクメン』とか調子に乗ってるの見るとお前ちゃんとやってないやろ、と思ってしまう。ホントにきっちりやってたら色んな制約でもっとドロドロした気持ちあってそんな爽やかに語れんからね。イクメン・イクボスとか自称する輩は個人的にあまり信用できない」
 「好きなだけ仕事するの当たり前で毎日残業して、飲みたい時に飲み行って、行きたい時に出張して、週末は子供の可愛さに触れて満たされてる男たち見ると『ちっ』とは思いますね」
 「イクメンを賞賛する前に、誰にも賞賛されなくても日々当たり前に育児をしてきた全世界の母親という生き物を、私は抱きしめたい」
 「会社に自称イクメンがいるんだけど、俺夜の8~9時までには帰るようにしてるよ、飲み屋に寄ってもその時間に帰る俺偉いでしょ?ってさ... 定時上がりが当たり前の会社でも結局育児に参加しようとしない父親」

といった憤懣があふれていた。

実態がともなわなければ

   なかには少数派ながら、

「私は恵まれていて、旦那さんは長時間労働がなくなればもっと子供といられるのにと言ってくれたり、休みの日も子供みてるから出かけておいでとか言ってくれたりするイクメンです」
 「外面な自称イクメンはアウトだと思う。言葉狩りはしたくないけど、実態を伴うことは大事。うちの夫は娘の沐浴も離乳食ももちろんオムツ交換も保育園の送迎もやってて私はおかげで勉強や仕事ができる。だけどイクメンなんて本人は思ってない」

という本物のイクメンに恵まれた人の声も見つかった。

   仕事と育児と家事、どれをどれだけ分担するかは各家庭によるが、

「子育てに参加するのはイクメンじゃなく、『父親』」

というつぶやきが一番的を射ているように思えた。(KM)