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エンゲル係数29年ぶりの高水準のなぜ? 国民の食事は贅沢になった

   人の生活と切っても切り離せないものといえば、1日3度の食事。自炊派、中食派、外食派と人それぞれだろうが、家計において食費が占める割合「エンゲル係数」は無視できないのではないだろうか。

   総務省統計局の家計調査(2016年平均、速報ベース。17年2月17日発表)によると、このエンゲル係数が29年ぶりに高水準となった。その背景には、現代ならではの理由が影響しているようだ。

  • 「エンゲル係数」が急上昇している!
    「エンゲル係数」が急上昇している!
  • 「エンゲル係数」が急上昇している!

最近の3年間で2.2ポイントも急上昇!

消費支出のうち食費が占める割合を示す「エンゲル係数」が急伸している。2016年(2人以上世帯)は25.8%と前年から0.8ポイント上昇して、29年ぶりの高水準になった。2000年(23.3)と比べても2.5ポイント増。なかでも最近の3年間で、じつに2.2ポイントも急上昇した。

かつて学校で、低下することが「豊かさを測る尺度の一つ」と教わったエンゲル係数がなぜ今、上昇しているのか――。

   一般には、エンゲル係数が高いほど「食費以外にお金が回らない状態」とされ、エンゲル係数が低いほど「豊かな暮らし」ということになる。

エンゲル係数が上昇したとのニュースに、ツイッターやインターネットの掲示板では、

「物価が上がったからよ。決して景気が良くなった訳ではないよ。騙されないからね」

   と、アベノミクスで、食材や食品の値上げが相次いでいることが影響しているとの指摘がみられるほか、

「介護で疲れているときは、お総菜を買ってしまう」
「時間がなくて食事をつくれないので買って済ませる」
「金がない、加えて仕事や介護で時間もない。ないないづくしの『貧困化』です」
「エンゲル係数の上昇、婚姻率とか出生率とかと関係あるのかな。自炊は安い。でも一人だとなかなか自炊しない」

   と、日々の生活が忙しくて「中食」や「外食」で済ませている人が少なくないことがうかがえる。どうやら、人々の生活ぶりが変わってきているようだ。

「物価が上がったからよ」......

   ツイッターなどにはこんな声も寄せられている。

「エンゲル係数が上昇するのは、金持ちに金が流れて、庶民に貧困がどんどん広がっているからですよ」
「日本でエンゲル係数の数字が上がったという話題が時々出ているが、『国民の食事が贅沢になったから』と分析している人々がいるという話を聞いて驚いた。所得が激減して、1日の食事代を制限し、スーパーで食材が安くなる時間帯を待って買い物をする国民の存在を考えてこそ、政治の改善が考えられる」
「シャープは身売りで、東芝は身投げ寸前。預貯金金利は限りなくZEROで、日銀はマイナス金利、保険料は値上げ、食料品も値上げ、エンゲル係数だけはV字回復。株価上昇で景気回復って言われても、株式投資に無縁な庶民は、どんな風にえんぴつナメナメすれば景気回復を実感できるんだろ...?」

   といった嘆きの声だ。

   なかには、

「大学のオタクの友達は多分娯楽費が増加してるんだと思う」
「洋服とか食べ物にほぼほぼお金かけないマンだからエンゲル係数ならぬ趣味係数めちゃくちゃ高いと思う」
「男女でエンゲル係数は異なるんじゃないの!? 女性は洋服にお金かけるし」

   との声も見つかった。

   食費も、娯楽や趣味も、おのおの「譲れない部分」は異なるが、バランスのよい家計が肝心なようだ。