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「産休トラブル考」(J‐CASTユーザー編)妊婦さんは大奥の「お腹様」「産休特権」は正社員のもの?

   働く女性にとって気持ちよく産休・育休が取れるかは、上司や同僚の手厚いサポートがカギになるが、職場内のトラブルが絶えない。

   J‐CAST会社ウォッチ編集部では、「産休トラブル」前編と後編(2017年12月30日・31日付)の記事で、ネットユーザーから意見を聞いた。産休・育休を取る女性に対して厳しい声が多かったが、政府や企業が取るべき建設的な意見も寄せられた。

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産休・育休をとる人への「冷たい視線」その背景は?

   記事の後編に「産休トラブルについてどう思いますか?」という「ワンクリック投票」を付け、6つの回答の中からユーザーの意見を聞いた。すると、2018年1月5日正午現在、166票の回答があり、その結果は......

1位 職場の同僚に迷惑をかけているのだから、もっと気を遣うべきだ(53票・31.9%)
2位 外資のように時短組も成果主義で厳しく評価すべきだ(46票・27.7%)
3位 制度として認められているのだから、対象女性は遠慮なく、精一杯活用すべきだ(29票・17.5%)
4位 会社が人員補充や手当などのサポート体制を充実するべきだ(28票・16.9%)
5位 企業任せにせず、政府が人員補充体制を整えるべきだ(5票・3.0%)
6位 職場のみんなで温かくサポートするべきだ(5票・3.0%)。

   産休・育休をとる人に対して、冷たい傾向が目立つ。その理由のひとつに、産休・育休を取る人の多くが正社員で、派遣やパートなどの非正規雇用の人の産休・育休の取得が難しいこと、しかも非正規雇用の人にしわ寄せがくる場合があることから、正社員への「目」はことのほか厳しいようだ。

   前編では、団体職員管理職の「『お互い様』の精神に欠ける寛容的でない人が産休トラブルの解決を難しくしている」という意見を紹介したが、こんな皮肉な声があった。

   「全員が結婚し子供を持つ時代ではないのに、『お互い様』と負担を他人に押し付けて平気な精神こそ『傲慢』です」。

   さらに反発は、妊娠する正社員に向かい、感情的にまでエスカレートする。

「産休という名の特権階級は正社員制度の弊害です。正社員をなくして、すべて派遣や1年契約にすればいい」
「妊娠したら天下をとったかの如く振る舞う『お腹様』は、江戸時代の大奥と変わりません」

育休正社員より仕事ができて、性格もよい派遣社員は使い捨て

   産休・育休をとった正社員の代わりに来た派遣社員のほうが、仕事ができる場合は悲劇が生まれる。

「社長秘書が産休と育休を1年取った。その間に来た派遣さんが優秀で正社員秘書より性格がよい。育休中の正社員が『体調悪いし、保育園決まらないから』(実はウソ!)と育休をさらに延長。いつ復帰するか判らないので、派遣さんの契約を延長。通算2年勤務になるので正社員採用にしようとなった時、ポジションを死守したい育休秘書が突然復帰宣言。体調と保育園は大丈夫なわけ? 仕事ができて性格もよい派遣さんは雇い止めで失業。彼女はシングルマザーだった。都合のいいように使われ、捨てられた。育休正社員は何様? これが現実。これが格差社会だ」

   また、前編では子育てママのための在宅勤務制度を紹介した。すると、こんな批判の声がいくつかあった。

「記事では、在宅の人あてにかかってくる電話を取り次がなければいけないからと、在宅勤務に反対の声があるという。しかし、IP電話で内線扱いにすればすむ話。日本の企業は設備投資をせずに在宅勤務のような新しい制度を導入しようとするから失敗している」
「在宅勤務には実は問題が多い。いい意味では場所にとらわれずに仕事ができ、悪い意味では際限なく仕事することになり、24時間365日仕事をしろという社員の奴隷化につながる」

   こういった指摘が出る背景には、「自宅残業」の現実がある。調査会社のIDC Japanの「モバイルデバイスに関する調査報告」(2017年12月発表)によると、社員数500人以上の企業を調べた結果、従業員の54.2%が「自宅残業」を行い、そのうちの37.8%が自宅のパソコンを使って作業していた。

   つまり、働き方改革で残業を減らそうという動きが出ても、半分以上が自宅で残業をこなしているわけで、「在宅勤務」にも弊害があるというのだ。

安倍内閣は、従業員の出産育児数の数値目標の導入を!

   また、外資系企業のようにはっきりと成果主義を打ち出し、時短組にもフルタイムと平等の厳しい評価を下すべきだという意見があった。

「産休のトラブルのように描かれているが、結局は仕事場における貢献度が正しく評価されていないことが問題だ。制度として子持ちの親の権利を保護しすぎており、そのしわ寄せが現場にのしかかる。育休でフルタイム労働者と同じ成果・責任が果たせなくなったら、昇進や昇給で貢献に見合った評価をすべきだ」

    もう企業に任せるのは限界だから、国が大胆な政策を図るべきという意見の中には、こんなアイデアがあった。

「企業の社会的責任として、女性管理職の割合の数値目標のように、従業員の出産育児数についても数値目標を導入すべきだ。そして、目標に達しない企業にはペナルティーとして社会保険料の雇用主負担分を上乗せする。そうすれば、企業も負担の上乗せを避けるため従業員の産休・育休に気をつけ、サポート体制を充実させるようになる。また、周りの理解も得やすくなる。少子化対策は今、国の最大の課題だからそれくらいの対策はすぐにやるべきだ」

   安倍内閣は子育て支援を政策の最重要課題としている。こうした声に、ぜひ耳を傾けてほしい。