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早期退職者の募集、25社が実施 2017年 5年ぶりに前年を上回る

   上場企業のうち、2017年に希望・早期退職者の募集を実施した企業は25社で、5年ぶりに前年を上回った。

   東京商工リサーチが、2017年の主な上場企業における「希望・早期退職者募集状況」調査を、18年1月19日に発表した。調査は、希望・早期退職者の募集情報の開示や具体的な内容が確認できた上場企業を抽出。未上場の上場企業の子会社は対象外とした。

  • 早期退職者の募集、2017年は再び増加へ
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好調でも募集、事業の構造改革に踏み切る

   希望・早期退職者の募集は、リーマンショックのあった2009年には191社だったが、円安進行で輸出産業を中心に業績が好転し始めた13年から徐々に減少。前年の16年には18社と過去最少を記録した。ところが、17年には7社増となる25社と、再び増加に転じた。

   その要因について、東京商工リサーチは、業績不振により人員の削減が必要であることはもちろん、業績が好調であっても将来の経営を見据えて不採算事業の整理をするなどといった、既存事業の構造改革に踏み切ったことがあるとみている。

   事業の構造改革による募集について、同社情報部の担当者は2018年1月22日のJ-CAST会社ウォッチ編集部の取材に、「たとえ業績が好調であっても、年齢の高い層が多いと人件費が膨らみ、また将来の人員の確保から、企業として年齢構成の是正を図る必要がある」と説明した。

   加えて、人手不足の中で転職が容易となっているなど、雇用環境が良好なことも早期退職者の募集に追い風になりつつあるとしている。「比較的年齢の高い人を対象とする希望・早期退職者の募集には人があまり応じない現状がある。ただ、雇用環境が良好であれば、退職をして転職活動を行い、より良い条件で働くことができる可能性が高まる」と、担当者は話す。

   今後は、新規事業の参入に伴う既存事業の整理などを背景とした人員削減に踏み切る企業も出てくるとみている。