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サラリーマンのための確定申告(その2)副業している人が注意すべきこと(前編)

   「サラリーマンのための確定申告」の2回目は、「副業」している人が注意すべきことを教わるじぇい!

   さっそくきゃすが、平井先生。所得20万円以上の人は確定申告しなければいけないらしいきゃすが、「所得」というのは収入と何が違うのか、教えてほしいじぇい。

  • 「所得金額」隠してもバレますよ!
    「所得金額」隠してもバレますよ!
  • 「所得金額」隠してもバレますよ!

「所得金額」を把握しよう、「隠してもバレますよ」

   基本的に、「所得」とは、手にした収入金額からその収入を得るために要した支出(経費)を差し引いた金額を指します。

   実際に納付する所得税額を計算するにあたっては、所得金額に税率を乗じて計算していきますが、所得税の場合には、収入の内容によって所得金額の計算方法が異なります。

   個人事業としての収入(事業収入)や不動産賃貸での収入などの所得金額の計算については、先ほど説明したように「収入金額から経費を差し引いて」所得金額を計算しますが、給与収入や年金収入については収入を得るための経費というのが基本的には認められていません。

   その代わりに給与収入については収入金額に応じた「給与所得控除」というものが認められています。

   また、年金についても年齢や収入金額に応じて、控除が認められています。これらの控除額を収入金額から引いたものが「所得金額」になります。

   では、確定申告をしなければいけない、20万円以上稼いでいるにもかかわらず、申告をしなかった場合、どうなってしまうきゃすか?

   確定申告しなければならない人は、任意で確定申告を『してもいいですよ』というわけではなく、『しなければならない』とされています。したがって、確定申告しなければならないのにしなければ、罰則があります。

   バレないと思っていても、税務署もさまざまな方法で申告、納税が漏れている人がいないかどうか調査をしていますので、いつかはバレてしまう可能性が高いのです。

   そうなってしまった場合には、本来払うべき税金に罰金や延滞金などが加算され、ちゃんと申告し、納税していれば済んだであろう税額よりも多く払う必要が出てきます。

   また、その後しばらくはちゃんと申告しているかどうかのチェックが厳しくなることも予想されます。

所得20万円以下でも申告しなければいけないケースがある?

   所得が20万円以下でも、申告しなければいけないケースがあると聞いたのですが本当きゃすか?
だとしたら、どのようなケースがあるんきゃすか?

   基本的にサラリーマンの方については、会社の年末調整でその年の所得税は確定されているので、確定申告は必要がありません。

   それは、「年末調整で所得税額の計算、納税が完了している」というのが前提で、「所得が20万円以下の場合には確定申告の必要がない」という制度も同様です。

   したがって、もともと確定申告しなければならない人、たとえば「年間の給与収入が2000万円を超えている」方や、「2か所以上からの給与収入がある」方については、給与以外の所得金額が20万円以下であっても確定申告が必要になります。

   また、医療費控除やふるさと納税がある方や住宅ローン控除を初めて申告される方についても、20万円以下の所得との合算で確定申告が必要になります。

   よく勘違いされている方も多いですが、20万円以下の所得については申告しなくてもよいのではなく、確定申告をされる方については20万円以下の所得についても申告しなければならないわけです。

ポイント
・ 所得金額を把握する
・ 所得20万円以下の人でも、「医療費控除」や「ふるさと納税」「(初めて)住宅ローン控除」がある人は確定申告が必要になる。

平井 隆(ひらい・たかし)
税理士法人 Alchemist 代表社員
2001年、大手会計専門学校に入社。会計・税務の資格試験の受験指導を担当し、毎年数多くの合格者を輩出する。2009年に税理士試験に合格。千葉県内にある大手会計事務所へ入所。所長代理として事務所運営を行うとともに、担当企業先のさまざまな経営問題に着手。資産税などのセミナーでも講演する。
企業の事業承継、資産家などの相続税の申告手続きを中心に相続・事業承継対策提案などを得意とする。38歳、埼玉県出身。