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入社式「心にしみる社長の挨拶」はコレだ! 会社ウォッチ編集部が独断で選んでみた

   新年度がスタートした2018年4月2日、多くの企業で入社式が行われ、経営トップが、それぞれの言葉で新入社員にエールを送った。

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、大小多くの会社の中から、「心にしみる社長の挨拶」を、独断で選んでみた。

  • 社長の挨拶、新入社員に伝わってる?(写真はイメージ)
    社長の挨拶、新入社員に伝わってる?(写真はイメージ)
  • 社長の挨拶、新入社員に伝わってる?(写真はイメージ)

「本を読んで教養を深めてほしい。会社が本代を支援します」

   まずは、読書の大切さを訴えたTKCグループ(宇都宮市)の角一幸社長の挨拶から。同グループは会計事務所への情報サービスと地方公共団体の行政効率向上サービスを専門にしている。

「社会人の第一歩を踏み出した皆さんへのエールとして、特に強調したいのは『人格形成の場として仕事を活用していただきたい』ということ。そのためには「教養」を深める努力が必要で、数多くの本を読むことが大切です。最近の若い人は読書をしなくなったといわれますが、今からでも遅くありません。ぜひ、多くの本を読んでいただきたい。
ただし10冊、20冊読めば、その分、目に見えて教養が深まるものではありません。とはいえ、取り組まなければいつまでも成果は出ない。10年、20年と継続するなかで教養は身についていくのです。そうした皆さんを支援するため、会社では『個人図書購入支援制度』を用意しています。
会社は皆さんの成長と成功を全力で支援します。皆さんが、仕事を通じてさまざまな経験を積み、教養を深め、人格を磨き、日本の未来を担う立派な社会人となることを期待しています」

   トヨタグループの総合商社、豊田通商の貸谷伊知郎社長も、書物から学ぶことの大切さを強調した。

「研修のあと、各部署に配属された皆さんは、先輩から仕事を学んでいくことになりますが、素直に学んで教えてもらってください。また、書物からも学び考え抜く力をつけてほしい。1週間に1冊読めば、1年で48冊。10年で480冊。に勉強しなかった人との差は歴然です。継続は力なり。いくつになっても人と書物から謙虚に素直に、学び続ける姿勢を大切にしていただきたい」

   さらに、貸谷社長は「失敗を恐れずチャレンジし続けること」を訴えた後、多くの社長が若い社員にあまり言わないことにも気を配った。「健康」だ。

「心身共に健康であることが大事です。自分自身の健康に向き合い、学生時代とは違う次元、レベルで健康管理と自己管理を実践してください」

「『真実一路』の正しい信念を貫く人生を送って」

   NTTデータの岩本敏男社長は、座右の銘を持ち出し、こう語りかけた。

「皆さんへ私の信条である『真実一路』という言葉を贈ります。これは『自らが正しいと信じる道を貫き通す』という言葉です。書物や歴史、先輩や同僚から学び、自分は何をすべきかを必死に考える。そして自分のやるべきこと、正しいと信じられる道が見えれば、たとえ周りの人に反対されても、それを信じて突き進んでいくと、必ずや目標を達成することができる、私はそう信じています。
これからさまざまな壁に直面することがあります。その時に何を正しいと考え、重きを置く価値は何かという自分の『軸』をしっかり持っていれば、どのような変化、時代の波にも流される心配はなくなります。自分がどのような人生を送り、自己実現を果たしていきたいのか、ぜひ考え続けてください」

   総合刃物メーカーの貝印の遠藤宏治社長は、孔子の言葉を持ち出した。ただし、英訳で。

「私が好きな孔子の言葉に『I hear and I forget. I see and I remember. I do and I understand.』というフレーズがあります。聞くことも見ることも大切だが、それだけでは忘れてしまうので、実際にやってみて理解することが大切。失敗して初めて学びがあるのです」

   そして、「(入社しても)当社の常識にとらわれず自分の感覚を大切にし、当たり前になっていることに対して疑問を呈していただき、独特な点を発見していただきたい。社として見直しや改善を図っていきますので、積極的に提案をしていただきたい」と、新入社員に改革の役割を期待した。

「鉄は熱いうちに打て、初動が勝負だ!」と熱血エール

   古典的にワイルドだった青春体験で盛り上げたのが、三井物産の安永竜夫社長だ。

「皆さんに言いたいのは『初動が大事』ということ。鉄は熱いうちに打て。まさに今皆さんは熱された鉄の状態です。最初の数年の経験の差が、将来ライバルとの大きな差となって表れます。私も入社3年目に台湾に語学研修に出され、3か月で日常生活に困らないようになって来いと言われました。
5年目でインドネシア担当となり、英語が全く通じないスマトラ島を、一人で走り回る日々を過ごしました。この時の経験がどんな修羅場・土壇場・正念場に陥ってもやっていけるという自信の源になりました」

   博報堂DYメディアパートナーズの矢嶋弘毅社長も、熱く、こう語った。

「私はずっと昔から『広告』がとても好きです。テレビやラジオのCM、新聞・雑誌の広告、屋外の看板、インターネット広告には、ついつい見入ってしまうことがよくあります。世の中には驚きや気づきを与えるクリエイティブなアイデア、誰も見たことがない仕掛けがたくさん隠れています。誰もがそれを生み出すチャンスと能力を持つことができます。後は、皆さんの心がけと日々の行動次第です」

   それぞれの会社には伝統の「社是」があり、それを解き明かしながら訴えると、よく伝わる。グンゼの廣地厚社長はこう説明した。

「当社には創業の精神、経営理念を実現するための心構えとして、『三つの躾(しつけ)』があります。『挨拶をする』『履物をそろえる』『掃除をする』という基本的な行動から成っています」

   そして、「挨拶をする」はより良い人間関係を築く第一歩、「履物をそろえる」は先々のことを考える気配り、「掃除をする」は物事のけじめをつける、という意味合いがあるという。「社会人としての原則ともいえるので、ぜひ実践できるようになっていただきたい」と語った。

   社長の挨拶にも、社長本人の個性だけでなく、企業文化が反映されているようだ。

(写真説明)社長の挨拶、新入社員に伝わってる?(写真はイメージです)