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ビフォーアフターや「○○%の効果」は禁止 美容医療のサイト広告に規制の網

   「あの有名モデルも通う」「○○%効果がある手術」「今なら○○円でキャンペーン中」...... 2018年6月1日から、インターネットに氾濫する美容クリニックなどの医療機関のウェブサイトの広告が規制され、虚偽や誇大、不適切な内容が禁じられることになった。

   改正医療法が実施され、これまで新聞やテレビのような「広告」に入らなかったウェブサイト上の掲載内容が「広告」とみなされ、規制の対象になる。

  • 「注射1本でやせられる」という広告にご用心(写真はイメージ)
    「注射1本でやせられる」という広告にご用心(写真はイメージ)
  • 「注射1本でやせられる」という広告にご用心(写真はイメージ)

「包茎手術、7万円から」が、なんと75万円の手術に

   医療に関する広告は、患者の健康を守る立場から医療法で厳しく規制され、限られた内容しか認められていない。しかし、インターネット上の情報は、患者本人が調べて入手するため、新聞やテレビ、看板広告などと区別され、規制されていなかった。

   ところが、保険が利かない美容医療の分野でトラブルが急増、2017年6月に成立した改正医療法で、インターネット上の情報も広告規制に対象に入ることになった。

   国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた美容医療をめぐる相談は2013~17年に2956件に達している。そのうち、インターネット広告による相談が2013年には64%だったのに、17年には82%を占め、毎年増えている状態だ。具体的には......

   【虚偽広告のケース】

   「『薄毛治療3400円から。99%効果あり』というウェブサイトを見つけ、クリニックに相談。カウンセラーから『薄毛の原因は遺伝。このままでははげる一方だ』と言われ、12か月45万円のスプレーと飲み薬の契約をした。医師の説明はなかったが、飲み薬の説明書では副作用の可能性があるという。不安なので解消したい」(20歳代、男性)

   これが、改正医療法施行後は、「○○%の満足度」「○○%の効果あり」など、データの根拠のない表示は「虚偽広告」と扱われて禁止になる。

   【誇大広告のケース】

   「『包茎手術、7万円から』とウェブサイトに表示されたクリニックに行くと、カウンセラーから『7万円の手術では手術痕が残る。きれいな手術痕にするにはオプションを付けたほうがいい』と言われ、断りきれずに、その日に75万円の手術を受けた。高すぎないだろうか」(20歳代、男性)

   改正法施行後は、提供する医療の内容について、必ずしも虚偽ではないが、費用などを誇張して表現、人を誤認させる広告は「誇大広告」として禁止される。

「1本1~3万円でやせる注射」が、なんと「4回240万円」に

   【誤認させるビフォーアフター写真のケース】

   「クリニックのウェブサイトに『1本1~2万円でやせられる注射で、細い人ももっとやせた』と、手術前・後の写真が掲載されていた。医師と看護師のカウンセリングを受けたところ、『注射を4回に分けて打つことが必要で、240万円』と言われた。払えないと断ると、『今日契約するとモニター価格で130万円にする。ローンも使え、美脚のボトックスもつける』と言われたため、契約した。4か月通ったが効果がない。広告に問題があると思う」(30歳代、女性)

   改正法施行後は、治療の内容や効果について、患者に誤認させる恐れがある治療前と治療後の写真(ビフォーアフター写真)は原則禁止される。ただし、治療内容や費用、リスク、副作用などの詳細な説明をわかりやすく付けたビフォーアフター写真は許される。

   国民生活センターでは2018年5月、「詳しい説明のないビフォーアフター写真や、根拠のない体験談も禁止されます」とネットユーザーに注意を呼びかけている。

   また、「今なら○円キャンペーン中!」「○○治療し放題プラン」などと、安い費用を強調した広告も禁止になる。医療法に基づく「医療広告ガイドライン」では、「品位を損ねる広告」を禁止しているからだ。「著名人も当院に通う」などの表示も、ガイドライン上の「比較優良広告」として禁止される。

   国民生活センターでは、こうアドバイスしている。

「美容医療サービスを受けるには、自由診療であることと、新しい施術も多いことから、リスクや副作用を十分認識したうえで、情報を集めて検討する必要があります。複数の医療機関に当たったり、都道府県にある医療安全支援センターに相違団したりしてください。また、問題のある広告をウェブサイトに載せているクリニックとは絶対に契約しないようにしましょう」