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「時差Biz」で通勤ラッシュは「変わらんぜよ」! ネット民が冷ややかなワケ?

   「東京の朝を、変えるぜよ。」――そもそも東京の話なのに、なぜ土佐弁なのだ?という批判があるなか、深刻な通勤ラッシュを緩和しようと、朝の出勤時間をずらすことを呼びかける「時差Biz(ビズ)」キャンペーンが2018年7月9日から始まった。

   このキャンペーンは、東京都が企業や自治体などと連携して去年から始めたもので、今年は11日現在、昨年の2倍以上となる782社の企業が参加している。

   参加企業は、社員の出勤時間を早朝にずらしたり、在宅勤務を導入したりするほか、鉄道各社も臨時列車を早朝に運行したりして、混雑緩和策に努める。キャンペーンは8月10日まで約1か月間続くが、時差ビズは定着するだろうか。ネットユーザーの声をひろった。

  • 坂本龍馬をつかった「時差Biz」キャンペーン(東京都のホームページより)
    坂本龍馬をつかった「時差Biz」キャンペーン(東京都のホームページより)
  • 坂本龍馬をつかった「時差Biz」キャンペーン(東京都のホームページより)

いつもはすいている早朝電車が混んで「はた迷惑」

   ネットユーザーはこの「時差Biz」をどう思っているのか――。ネット掲示板をみると、次のような好意的な意見もみられる。

「自分に合った時間で勤務できるのはいいね。それぞれ、バラバラの時間になれば満員電車も減るかもしれない」
「勤務のフレキシブルさを売りにしているベンチャーほどではないが、弊社では流行りの時差Bizライクな制度がある。10時~19時の勤務を9時~18時にスライドした『アーリー勤務』だ。これは、(1)お子さんの迎え(2)ビアガーデンに繰り出す(3)大学に行って勉強(4)友達とスポーツ...... と組織の中でメリハリができるいい制度だ」

   ところが、賛成する人はごく少数。東京都の「時差Biz運営事務局」の公式ツイッターの中でさえ、こんな批判の声が――。

「時差Bizで一番わからないのは、なんで時間を繰り下げる方向が無視されているんだ? ということ」
「いつもはそこそこすいている7:30の大手町。今日は結構混んでいて気分が悪い。時間ずらしたいけどこれ以上早く起きられない」

   ほかのネット掲示板でも同様の指摘が相次いだ。

「時差Bizに1本早い電車に乗ったら、アホみたいに混んで、混んで、必要以上に圧縮された。時差Bizはいいけど、その分早めの電車が満員になってんじゃねーか」

と、時差Bizが早い出勤を奨励するため、逆にすいていた車内が混んでしまい、はた迷惑だと怒りをぶつける声が圧倒的に多い。

「早い出社、遅い退社」で得するのは会社だけ

   それだけではない。早く出勤してもその分早く退社できるかどうか、疑問視する声も目立つ。

「元々の意図は『早く来て早く帰る』または『ゆっくり来てゆっくり帰る』フレックス制などの利用を推奨したものだと思うけど、はき違えた企業様は『早く来て遅く帰る』を推奨しそうだよね」
「そもそもの問題として、従業員には出勤時間を変える自由はなく、所属企業が認めない限り『早朝出勤は勝手だけど、帰る時間はいつも通りでね』ではただの負担増だし、遅く出勤したら『遅刻だから減給ね』ですから?」

   また、現実問題として次のような事態も心配される。

「大手の会社をすべて早朝出勤にしないと実現は難しい。プレミアムフライデーの失敗の状況を見ても、仕事の出し元が早めに依頼をする以外、通勤・帰宅時間をずらすことは事実上不可能だ」
「時差ビズ、出勤時間を早朝側にズラすけど、保育園の送迎がある人はどうするの? その分保育園が早く始業して、受け入れてくれるの? ないだろうな? 独身者か専業主婦のいるサラリーマン家庭しか想定してない感がすごい」

   そして、7月9日~10日の2日間に早朝出勤を試した人からは、「疲れた~」という声が――。

「時差bizで早く退社したけど、周りはまだ働いているし、眠いしで、帰って結局寝るしかないんよなあ......」
「繁忙期で早出なので自動的に時差ビズだけど、早く帰れないので帰りは帰宅ラッシュ。家を出る時間が早かったのでだいぶ疲れています。早出と残業の両立を強いられていますよ」

鉄道会社のホンネ「哀れな通勤地獄は密の味」

   では、どうすればよいのか。さまざまな提案が出されている。

「時間帯じゃなくて曜日で分散させた方がよっぽど効果ある。役所が一斉に土日に休む必要なんてないでしょ」
「週4日10時間勤務や12時間、隔日勤務を導入する企業が増えれば、通勤ラッシュが多少緩和され、無駄な残業が減るし、休日が増えて自由な時間が増えると思う」
「本気で電車混雑の緩和を目指すなら、一定のホワイトカラーに対して出社しなくていいような規定を義務付ける。今どきネットワークにつながったコンピューターがあればどこでも仕事できる人は多い。片道1時間もかけて一斉に都内めがけて押し寄せるなんて時代遅れもいいところ」

   しかし、それでは鉄道会社が困るという。

「鉄道会社の本音を代弁すると、在宅勤務なんて増やされると利用者の減少につながり反対なんだ。哀れな通勤地獄は蜜の味」

   そこで、根本的な解決策はコレだ。

「時差bizの効果がないことぐらい企業は百も承知。働き方改革に取り組んでいるというイメージをコスト負担なく実現できるからやっているだけ。ホントに実現したかったら首都移転しろ。やる気もないくせに!」
「そんなことやってないで、とっとと大企業を都心から移転させろや」

   さらに、こんな過激な意見もあった。

「いっぺん満員電車の乗客が将棋倒しになってケガとか死者が出たら、行政も本気で取り組んでくれるんじゃない?」