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働き方改革「取り組む予定ない」15% 「人手不足の状況で無理がある」

   企業の働き方改革への取り組みが国を挙げて進められているなか、なお「取り組む予定はない」と答えた企業が15.1%あったことが、帝国データバンクの「働き方改革に対する企業の意識調査」でわかった。2018年9月14日に発表した。

   一方、企業の63.1%が働き方改革に前向きで、具体的には「長時間労働の是正」や「休日取得の推進」に取り組んでいる。

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働き方改革「避けて通れない」

   調査によると、自社の「働き方改革」への取り組み状況について聞いたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は37.5%。また、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定がある」と答えた企業は25.6%となり、合わせて6 割超の企業が働き方改革への取り組みに前向きなことがわかった=「働き方改革への取り組み状況」参照

   その半面、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」が2.6%、「取り組む予定はない」は15.1%で、合計で17.7%の企業が働き方改革に取り組んでいなかった。

   企業からは、

「健康管理の観点からも働き方改革は避けて通れない」(農・林・水産、秋田県)

と、働き方改革を社会全体の流れとして捉えている声があった一方で、

「働き方改革は前進すると思うが、結果として、日本経済が上向くのか、あるいは弱体化していくのか、結果はわからない」(金融、神奈川県)
「働き方改革の趣旨は理解できるが、産業全体がすべて同じ歩調で取り組めるのだろうかという疑問をもってしまう」(一般貨物自動車運送、群馬県)
「人手不足の状況での働き方改革には無理がある。人口増加が見込めない現状では、外国人人材の受入制度など規制緩和にも取り組むべき」(銑鉄鋳物製造、富山県)

などの「後ろ向き」な声も聞かれた。

「働き方改革を進めていくには会社全体の理解と資金が必要であり、時間が掛かる」(一般土木建築工事、山形県)

といった、働き方改革の実現にはある程度の時間や資金がかかるという声もあった。

「必要性を感じない」から取り組まない37.6%

   働き方改革への取り組みで、企業が最も重視する目的は「従業員のモチベーション向上」が25.6%でトップ。次いで、「人材の定着」の19.8%、「生産性向上」が15.9%、「従業員の心身の健康(健康経営)」は15.4%、「円滑な人材採用」の8.9%と続く。

   具体的な取り組み内容は、「長時間労働の是正」が79.8%で最も高く、「休日取得の推進」の61.8%、「人材育成」の56.3%と続く。

   効果のある内容としては、労務面では「長時間労働の是正」が30.3%。業務改善(生産性の向上)では「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」の21.5%。経営・事業では「従業員の理解を得ること」の22.2%が、それぞれ最も高かった。

   また今後、新たに取り組む予定の項目では、「休日取得の推進」が24.8%で最高。「人事評価制度・賃金制度の変更、改善」が23.9%、「多様な人材の採用・登用」の21.2%と続く。

   一方、働き方改革への取り組み状況について、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」または「取り組む予定はない」と回答した企業にその理由を聞いたところ、「必要性を感じない」が37.6%で最高(複数回答)。次いで「効果を期待できない」が34.1%で、働き方改革に取り組んでいない企業では、その必要性や効果に疑問を感じていることが明らかとなった=「取り組んでいない理由」参照

   また、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(29.4%)や「推進できる人材がいない」(20.2%)など、人手不足が足かせとなって働き方改革に取り組めない様子がうかがえる。

   なお調査は、2018年8月20~31日に実施。対象は全国2万3099社で、有効回答数は9918社(回答率42.9%)だった。