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えっ、通話の切り方忘れて高額請求? 高齢者ならではのスマホトラブル急増中

   「お爺ちゃん、ガラケーやめてスマホにしたら? 私たちとLINEやろうよ」――。孫娘に言われ携帯電話ショップに行くと、ワケもわからないまま、スマホどころかタブレット端末まで買わされる。おまけにスマホは使いこなせず......

   若い人には当たり前になったスマートフォン(スマホ)だが、近年、高齢者にも使う人が急増していてトラブルが続出。2018年9月13日、とうとう国民生活センターが「まずスマホの使い方をよく理解してから契約しよう」と注意を呼びかけた。

  • スマホ使いこなせていますか?(写真はイメージ)
    スマホ使いこなせていますか?(写真はイメージ)
  • スマホ使いこなせていますか?(写真はイメージ)

メールやネットを使わないのにスマホ契約を......

   スマホをめぐるトラブルの相談は、2013年の9321件から2017年の1万4705件へと毎年増え続けているが、そのうち60歳以上の高齢者が占める割合が4割から5割へ上昇しているのが特徴だ。

   高齢者から寄せられるトラブル相談には、こんな事例が多いという。

【事例1】必要ないと断ったのに、スマホを契約させられた。
   従来の、いわゆる「ガラケー」といわれるフィーチャーフォンを、10年以上使っている。携帯電話ショップから「新商品の説明をしたい」という電話があったので、説明だけ聞くつもりで行くとスマホの機種を見せられた。
   自分は電話のみの使用で、メールやインターネットを利用したこともないからスマホは必要ないと伝えたが、話がどんどん進み、契約してしまった。自宅に帰って使ってみたが、さっぱりわからない。解約して元のフィーチャーフォンの契約に戻してほしい。(東京都、70歳代男性)

【事例2】スマホを契約したら、不要なタブレット端末や付属品とのセット契約だった。
   スマホの機種変更のために店舗へ出向いた。もともとあまり利用しないので、通話、データ量とも一番安いプランを希望すると、「タブレット端末とセット契約」と言われた。
   タブレット端末は不要と断ったが、「一番安いプランはセット販売」と言われ申し込みをした。また「ヘッドホン、置き型充電器の付属品は袋に入れておく」と言われ、料金説明がなかったので無料だと思った。ところが、今日請求書の明細を見たら約2万5000円と高額で驚いた。
   料金センターに内容を問い合わせると、スマホ、タブレット端末、ヘッドホン、置き型充電器、2回線分の事務手数料、50GBのデータ通信プランの料金等だった。また、スマホとタブレット端末は別々の契約が可能で、ヘッドホンと置き型充電器は有料だったこともわかった。(北海道、60歳代女性)

   事例1のように、フィーチャーフォンを希望する消費者にスマホを契約させたり、事例2のように「セットになっている」と偽ったり、「無料」や「プレゼント」と思わせたりして、消費者が不要と断っているタブレット端末を購入させたりする手口が非常に多い。インターネットを使用しないと伝えている消費者に大容量の高額プランを提供するケースもある。

   契約時には、特に料金が発生する内容は何か、そしていくらかかるかを確認することが大切だ。また、自分が本当に必要だと思ったものだけを契約して、内容がよくわからなかったり、不安を感じたりした契約は断ろう。

契約時は家族や友人といっしょに

【事例3】タブレット端末、光回線、充電器等まで契約したが、スマホさえ使いこなせない。
   スマホを使ってカラオケを練習している友人を見て、便利だと思い、フィーチャーフォンからスマホにしようと携帯電話の店舗へ行った。自分はパソコンもしないし、スマホも初めてで、何もかもわからないことを告げると、「使い方を教える」というので契約した。「画面が大きいから自宅で使うのに便利だ」と言われ、スマホの大きな物(タブレット端末)を勧められた。
   また、光回線や充電器も勧められ、「まとめると安くなる」と言われたので、まったく内容がわからないまま契約した。さらにカードのようなもの(SDカード)も契約すると商品券やお肉がもらえるというので契約した。
しかし、スマホもタブレット端末もまったく使い方がわからない。契約直後に使い方を教えてほしいと店舗に電話すると「担当者が店にいないので教えられない」と言われた。(京都府、70歳代男性)

【事例4】スマホの通話を切り忘れて高額な通話料を請求された。
   スマホに買い替えて、うれしくて友人に電話をした。5分くらいしか話していないが、お互いに電話が切れておらず、通話時間が約8時間になっていた。いつもは3000円くらいの携帯電話料金が2万円を超えていた。どうにかならないか。(大分県、70歳代男性)

   高齢者には、事例3のようにスマホを積極的に利用したいと思い、通信料金等の契約内容にも納得しながら、その後の操作方法が難しく、結果的にスマホを使いこなせず、解約する人が多い。

   スマホはフィーチャーフォンとは操作方法が大きく異なるから、事例4のように、電話を切る基本操作さえ正しくできないケースがあり、トラブルの元になっている。

   「通話定額制のかけ放題プランを契約したのに、高額料金を請求された」という相談も少なくない。これも対象外の番号があることを知らずに長く通話したためだ。契約内容をしっかり理解するようにしよう。

   「料金に納得できない」といって支払いを放置すると、「不払者情報」に登録され、別の携帯電話会社とも契約できなくなる。

   こうしたトラブルは契約時がきっかけになっていることが少なくない。契約時にはスマホをよく知っている知人や家族に同行してもらい、操作方法をしっかり教わるのが得策だ。(記者 福田和郎)