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【投資の着眼点】誰でも知ってる日経平均株価を構成する「大型株」の特性を知る

   株式投資をするとき、銘柄選定は重要だ。

   たとえば、「大型株」と「小型株」というくくりなら、どちらを買うべきだろうか。それは歴史ある大企業で極端な成長は見込めないものの、堅実な会社を買うのか。それとも上場から間もない新興の中小企業だが、売り上げや利益の伸びが著しく株価が数倍に跳ね上がる可能性のある株を買うか、ということだ。

   歴史は浅いが将来性がある中小企業に投資することは、大化けするロマンがある一方で、銘柄選定には念入りな調査が必要なので、「とりあえず、大企業の株を買ってみよう」という人は少なくないかもしれない。

  • 大型株は景気に左右されやすい
    大型株は景気に左右されやすい
  • 大型株は景気に左右されやすい

アベノミクスの5年間で300万円が1500万円に!

   経済の好況と不況に株価が左右されやすい企業の株を、景気循環株という。

   日経平均株価は日本を代表する大企業225社の株価を基に算出される指標だが、一般的に景気がよくなるときに上昇し、悪化するときに下落するといわれている。「誰でも知っている大企業の株」というのは、その225社に含まれていることが多い。

   日経平均株価が日本を代表する225社の株価を基に計算されている以上、日経平均株価が上昇していれば、その225社のうちどれかの株を買っていれば、株価が上がって利益が出ている可能性は高まる。

   一方、日経平均株価が下がるときは、「誰でも知っている株」を買ったとしても、損をする可能性が高いだろう。大型株の株価は、日経平均株価と連動する傾向がある。

   大企業、つまり「大型株」の株価は景気に左右されやすい。2012年12月、日経平均株価は9000円台だった。その後のアベノミクス効果もあって、15年5月の日経平均株価は2倍超の2万円を突破した。12年12月に大企業の株を買っていれば、その株価が大幅に上昇して、今ごろ笑いが止まらないかもしれない。

景気にはサイクルがある

   こんな例がある。2012年当時、中学2年生だった男性が親の口座を借りて300万円で株式投資をはじめた。株式に対する知識は豊富とはいえなかったが、それでも男性が大学生になった17年春には、口座の資金は1500万円に増えていたという。

   この話を、その男性から聞いたとき、思わず「すごいね」と言ったのだが、男性はいたって冷静だった。「あれは相場がよかったからですよ。だから、とりあえず買っていれば、株価が上がりました」

   「小型株と大型株なら、どちらのパフォーマンスが上か」という議論があるが、景気がよくなって日経平均株価が上昇するような相場では、大型株を買うほうが確実だろう。

   景気にはサイクルがある。大型株を買って長期保有するなら、景気がよくなるときを待って買うべきだろう。景気がよくなる前には必ず不況があるが、日本経済に対する世の中の悲観的な見通しにも屈しない、不屈の精神があればなおさらよいに違いない。

   しかし、景気が悪化するときはどうだろうか――。2007年の米サブプライムローン危機、翌08年9月のリーマン・ブラザーズの破たんを受けて、08年の日経平均株価は過去最悪ともいえる下落を記録した。年初1万5000円を超えていた日経平均株価は、10月に一時7000円を割り込むまで下落した。この年の前半に株を買っていた人は、恐らく悲惨な目に遭っていただろう。

   つまり、大型株は景気の動向に左右されやすく、景気の見通しを誤れば、ひどいギャンブルになりかねない。だが、景気がよくなるときには比較的簡単に利益を手にすることができる投資であるといえるのではないだろうか。(ブラックスワン)