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パワハラ上司はブラック企業で働かせろ! 「目には目を」の超ユニークイベント

   上司に自分がパワハラをやっているかどうかを自覚させるには、ブラック企業の新入社員になり、痛い目にあってもらうのが一番! というわけで、札付きのブラック企業に一日体験入社するイベントが行なわれる。

   名づけて「世界一辞めたい会社へようこそ あなたもブラック企業で働きませんか?」。劇団員が扮する超怖~い上司や先輩が待ちうける「職場」に初出勤、次々と理不尽なハラスメントが襲いかかってくる。あなたは、わずか半日だが恐怖の勤務に耐えることができるか!

  • 「あなたもブラック企業で働きませんか?」(株式会社人間のウエブサイトより)
    「あなたもブラック企業で働きませんか?」(株式会社人間のウエブサイトより)
  • 「あなたもブラック企業で働きませんか?」(株式会社人間のウエブサイトより)

劇団員扮する鬼の上司が、次々と理不尽なハラスメント

   このイベントを企画したのは「株式会社人間」(大阪市西区)。「おもしろくて変なことを考えている」をモットーに、ジャンルの枠にとらわれない、さまざまなアイデアがウリのウエブコンテンツ制作会社だ。J-CAST会社ウォッチ編集部の取材に応じた、同社代表で「ボケるプロデューサー」の花岡洋一さんはこう語る。

「僕ら、大阪の笑いを軸にした会社ですから、何でもおもしろがって楽しくやりたい。働き方改革やパワハラ問題でも、あれやっちゃダメ、これはイカンと堅苦しい規制の話ばっかりじゃないですか。パワハラだって、上司は気づかないでやっている人が多いし、周囲も指摘しにくい。それならいっそ、パワハラをエンターテインメントにして、上司本人に経験させたらおもしろいと企画しました」
ホントはブラックな「スーパーミラクルハッピー」の正社員募集広告
ホントはブラックな「スーパーミラクルハッピー」の正社員募集広告

   イベントの設定はこうだ。参加者は健康器具販売業「スーパーミラクルハッピー株式会社」の正社員募集に応募するという形をとる。「残業はほとんどなし!基本定時退社! モノがいいので飛ぶように売れる楽な仕事です! まずは何も考えずお気軽に応募ください!」という広告に応募すると即採用。参加者は入社式を兼ねた初出勤にのぞむという仕掛けだ。

   出社日はなんと11月23日。皮肉にも「勤労感謝の日」の祝日だ。会社は東京新宿の某雑居ビルにある。この会社、実は超一流のブラック企業なのだ。あなたが、初出勤が祝日なんてイヤだなあと思いながら、持ち前のやる気と根性、忍耐力で会社のあるフロアに入ると、早くも「感謝するより勤労だ!」と唱和する社員の声が廊下まで響いてくる。これってまさか、ブラックでは......。

ブラック企業アナリストが監修、実話が元の演出

   会社の社長、上司、同僚たちを演じるのは大坂の劇団「子供鉅人」(こどもきょじん)の俳優たち。多くのブラック企業の実話を元に、劇団演出の益山貴司さんが脚本を書いた。その益山さんにネタを提供。ストーリーを監修したのが、自らもブラック企業に勤務経験があり、『ワタミの失敗』などの著書があるブラック企業アナリストの新田龍さんだ。

   参加者は、「株式会社人間」のサイトから応募、午前と午後の2回、15人ずつが「新入社員」として採用される。11月14日が締め切りだが、30人以上の応募があった場合は、会社での立場が管理職を優先に採用するという。花岡さんは、

「やはり上司の人にパワハラの痛みを経験してほしいですからネ。早くも炎上ぎみで、11月1日の一日に80人の応募がありました」

と語る。

   採用された参加者にだけに「会社」が入っている雑居ビルの所在地などの連絡が入るが、なにしろ札付きのブラック企業、えりすぐりの恐ろしい上司、先輩ばかりだ。参加者は次の事項に同意する必要がある。

   (1)職場で起こるさまざまな「ハラスメント」を体験する内容です。エンターテインメントとして演出していますが、気の弱い方や、強い口調が苦手な方は参加を控えてください(体に触れる行為はいたしません)。

   (2)演者から無理難題、理不尽な言動を受けますが、あくまで体験イベントと受け入れてください。

   (3)イベントの性質上、怒りを感じることがあるかもしれませんが、くれぐれも演者に危害を加えたり、進行を妨げたりする行動は控えてください。

   (4)イベントに耐えられなくなった場合は、途中退場できる「退職願」を用意しています。

   (5)多少無礼なことがあっても、怒らないようお願いします。

   最後に花岡さんはこう語っている。

「今回のイベントが成功したら、実際に大企業のハラスメント研修に出て、大勢の社員の前でやってみたいです。部下の前で上司にハラスメントを体験させたい。荒療治をしないと、本人にもわかってもらえないですからね」

(福田和郎)