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就活でインターンシップがすっかり定着 参加学生が7割超え最多に

   学生が企業で一定期間就業体験をするインターンシップが、就職活動の中ですっかり定着していることが、マイナビの調査でわかった。2018年11月13日の発表。

   インターンシップに参加した学生は約7割を超えて過去最高となり、参加した平均企業数も3社で最多となった。その一方で、参加しない学生も2~3割の一定数がおり、積極的に活動する学生と興味を示さない学生とで二極化が進んでいる。

  • インターンシップで社会を知ろう(写真はイメージ)
    インターンシップで社会を知ろう(写真はイメージ)
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積極参加の学生と見向きもしない学生に二極化

   調査によると、2018年10月中旬時点までに、インターンシップに参加したことがある学生は72.8%(前年比0.6ポイント増)と、3年連続で増加した。参加した企業数も3.0社(同0.3社増)で、7割の学生が一人平均3社のインターンシップに参加したことになる。2015年には55.5%の学生が平均1.9社だったから、3年間で人数、企業数とも約1.5倍に増えた。

   インターンシップに参加した目的を聞くと(複数回答)、「特定の企業のことをよく知るため」(71.3%)、「自分が何をやりたいか知るため」(60.1%)、「志望企業や志望業界で働くことを経験するため」(55.7%)が上位3位を占め、年々割合が増えており、はっきりと就活を意識しながら参加しているのがわかる。特に理系では、「特定の企業のことをよく知るため」と「自分の専攻が社会で役に立つか知るため」の割合が、文系に比べて高く、早くから自分のキャリアを見定めて活動する傾向が強い。

   インターンシップには、企業が学生を見極めて採用に直結するものから、企業がイメージアップや社会貢献を目指すもの、アルバイト募集型などのさまざまなタイプがある。また、期間も1~3日の短期から1週間~1か月と長期にわたるものに分かれている。

   学生に最も参加しやすいと思った期間を聞くと、1日が53.9%と最も多く、2~3日が33.8%、1週間以上が12.3%となった。この短期間のものを好む傾向は年々高まっている。しかし、最も印象に残った期間を聞くと、1日が48.3%、2~3日が21.6%、1週間以上が30.1%と、逆にじっくり就業体験できる「1週間以上」の割合が高くなった。プログラム内容がよく考えられ、充実したものが学生の印象をよくしているようだ。

   インターンシップに参加してよかった点を聞くと(複数回答)、「社員と会話する機会が多かった」(49.9%)、「プログラム内容が考えられていて、よく理解できた」(46.1%)、「グループに対してフィードバックがあってよかった」(34.0%)などが多く選ばれた。社員が学生に協力的で、指導性を発揮するプログラムが好感をもたれるようだ。

全然興味なかった仕事にやりがいが持てるようになるかも

   今回の結果について、J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じたマイナビ・リサーチ&マーケティング部の栗田卓也部長はこう語る。

「今回の調査で感じられるのは、インターンシップがすっかり一般化したことです。参加率は前年同期に調査した数字とほとんど変わらず、年々上昇してきた参加率が一段落して、7~8割で高止まりした印象を受けます。それとともに、積極的に参加して就職活動に対する事前準備をする学生と、インターンシップそのものに興味を示さない学生との間で格差が広がっています」

   どういうことか。栗田さんはこう説明した。

「インターンシップは必ずしも就職に直結するわけではないので、大学側がどんなにお尻を叩いても、足を運ぼうとしない学生が一定数います。そういう学生は就職を含めた自分のキャリアを前向きにとらえられない人が多い。インターンシップは社会を知り、視野を広げるいい機会です。ぜひ1~2日の短期間でもいいので、さまざまな業界のインターンシップに参加してほしい。全然興味がなかった仕事にもやりがいが持てるようになるかもしれません。また、マスコミ志望など行きたい業界がはっきり決まっている学生も、特定の企業ばかりに行かず、いろいろな会社を見てほしいと思います」

   また、栗田さんは、企業側に対しては、

「学生によかった点を聞くと、『社員と会話ができた』『プログラム内容が良く考えられていた』『フィードバックがあった』ことをあげています。しっかりとプログラムを練り上げて、社員と話す機会を増やして、学生に対してしっかりフィードバックする体制をつくってほしいです」

と望んでいる。

   なお調査は2018年9月28日~10月16日、「マイナビ2020」に登録している全国の大学生・大学院生6507人を対象にアンケートで行なった。

(福田和郎)