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【投資の着眼点】この株は上がるか、下がるのか? 「オプション」で読む方向性

   株式投資を行う際、まず考えるのは「この株は上がるのか、それとも下がるのか」ということだ。

   上がると思えば買い、下がると思えば買っていた株を売却する。株式投資は株価の方向性の判断が欠かせない。そして思惑とは逆方向に、ある程度株価が動けば、損失を限定するために損切りをするのが一般的だ。

  • この株は上がるか、下がるのか?(写真は、東京証券取引所
    この株は上がるか、下がるのか?(写真は、東京証券取引所
  • この株は上がるか、下がるのか?(写真は、東京証券取引所

「権利」を買う、「権利」を売る

   そこで問題となるのは、最終的な株価の方向性が合っていても、短期的に逆方向に株価が動くと損切りを余儀なくされるということ。信用取引の場合、割高だと思った株を空売りしても、自分が売ってからもしばらく上がり続けるようなことがあれば、損切りをしないと破産しかねない。

   したがって、最終的に株価がどう動くかについての自信があっても、短期的な見通しに自信がないときは、通常の株式取引は高い確率で損切りに遭うリスクを伴う。

   しかし、最終的な値動きの方向性に自信があるときや、上昇か下落か自信はないが、近いうちに大きな値動きがありそうだというときに有利な投資がある。オプション取引だ。オプションにはさまざまな種類があるが、もっとも一般的な日経225オプションについて紹介したい。

   オプションは、「コール・オプション」と「プット・オプション」の2種類がある。「コール」は買う権利、「プット」は売る権利のことだ。具体的に見てみよう。

   「2019年1月限、権利行使価格2万2000円」と書かれたコール・オプションがあったとする。これが意味するのは、「2019年1月11日(第2金曜日)に2万2000円で日経225を買い付ける権利」だ。

   仮に、2019年1月11日に日経平均株価が2万5000円に上昇していたとしよう。このとき、先ほどのオプションは「2万2000円で買う権利」だから、日経225先物を2万2000円で買い、その直後に2万5000円で売却する(この作業は自動で行われる)。オプションの購入料が500円なら

25000 - 22000 - 500 = 2500(円)

が利益となる。

   では、2019年1月11日に日経平均株価が2万円に下落していた場合はどうなるのだろうか。これがオプション取引のおもしろい点で、オプションはあくまでも「権利」であるから、2万2000円で買う「義務」はない。したがって、保有していたオプションは無価値なものとして失効する。この場合、オプションの価格(プレミアム)である500円だけが損失となる。

   したがって、株価が上がると思えばコール・オプションを買えばいい。プット・オプションは決められた価格で売る権利だから、株価が下がる見通しのときに買うのが一般的だ。

株式相場が大きく動く前に仕込む

   では、方向性はわからないが、これから大きく動くと考えているときは、どうすればよいのだろう――。ひとつは、コール・オプションとプット・オプションを同数買うという手法だ(正確には、ギリシャ文字の「デルタ」と呼ばれる指標が0になるように、コールとプットの購入数を微調整する)。

   具体的には...... 現在、日経平均株価が2万2000円とする。株価は小刻みに値動きを続けているが、近いうちに大きな値動きがありそうだと判断した。

2万4000円のコール + 2万円のプット

   このような組み合わせで買うのがセオリーで、コールとプットの両方を合わせて買う手法を、「ロング・ストラングル」という。

   ロング・ストラングルに限らず、オプション取引は全般的に相場が大きく動く前に仕込むと、大きな利益を得やすいとされる。その一方で、オプションは期限が存在するため、値動きがあるまでに時間がかかるような場合は適していない。株価が急変動するようなとき、大きな利益を上げられるのが高いのがオプション取引の特徴だ。

   株価の急変動を予測する方法としては、さまざまなテクニカル分析や出来高分析といったチャート分析を用いるほか、政治的なイベントに合わせるという手もある。

   近年の具体例は、2016年11月の米大統領選や、2017年4月のフランス大統領選などだ。政治的なイベントで「サプライズ」があると、株価は急激に大きな値動きをする可能性が高まる。もし、サプライズがなく大幅な株価変動が発生しなくても、購入から売却まで経過した時間が短いため、購入していたオプションをわずかな損失で売却できる可能性が高い。(ブラックスワン)