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2019年の景気 「悪化」を見込む企業が激増

   2019年の日本の景気はどうなるのか――。帝国データバンクが全国の2万3052社を対象に実施した「2019年の景気見通しに対する企業の意識調査」によると、2019年の景気が「悪化」すると答えた企業は全体の3割近くにのぼり、前年調査から2倍以上も増えたことがわかった。2018年12月13日に発表した。

   政府は2012年12月から続く景気の回復期間が高度経済成長期の「いざなぎ景気」 を超えたと認定したばかりだが、企業ではすでに景気悪化を心配する見方が広まっているようだ。

  • 2019年の日本の景気はどうなるのか!?
    2019年の日本の景気はどうなるのか!?
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2018年の景気、「踊り場」が最多

   2018年の景気動向について、「回復」局面にあったと答えた企業は9.4%と、前年の21.2%から大きく減少した。

   「回復」と答えた企業は、2020年の東京オリンピック前の好景気や、19年10月に控える消費増税前の駆け込み需要、中国の生産減少にともなう生産拠点の国内シフトなどを理由にあげた。

   その一方で、「悪化」と答えた企業は17.2%(前年比8ポイント増)に増加。地震や台風など相次ぐ自然災害の影響、燃料費の高騰や人件費の上昇などが理由にあがった。

   「踊り場」と答えた企業は全体の54.7%(5.7ポイント増)で最多。理由として、消費増税にともなうポイント還元など政府の対応が不明確で、増税前の駆け込み需要が期待どおりではないのではないかという見方があった。

   「わからない」と答えた企業は18.7%(2ポイント減)だった。

   2019年の景気見通しについて、「回復」を見込む企業は9.1%(前年比11.2ポイント減)と、13年見通し以来6年ぶりに10%を割った。「回復」と答えた企業の中には、人手不足が雇用機会を拡大し、消費につながると見る企業もあった。

   一方で、「悪化」を見込む企業は29.4%(17.1ポイント増)にのぼり、こちらも13年見通し(34.6%)以来の高水準となった。理由としては、不動産プチバブルの崩壊、消費増税の影響、貿易摩擦による世界的金融危機の発生などがあった。

   なお、「踊り場」と答えた企業は38.2%(2.2ポイント減)、「わからない」と答えた企業は23.3%(3.7ポイント減)だった。

3割近い企業が2019年景気の「悪化」を見込んだ
3割近い企業が2019年景気の「悪化」を見込んだ

「消費増税」と「米中関係」が景気悪化の懸念材料に

   2019年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料は何か(3つまで回答可)という質問では、「消費税制」が55.3%(前年比29.6ポイント増)で最も多かった。

   企業からは、増税後のデフレ再来、軽減税率導入にともなう準備コストの増大などを心配する声が聞かれた。

   2位の「人手不足」は46.2%(1.7ポイント減)、3位の「原油・素材価格(の上昇)」は45.4%(5.4ポイント増)と、いずれも2年連続の40%台だった。

   4?6位には「中国経済」(18.2%、前年比5.1ポイント増)、「米国経済」(17.5%、3.4ポイント増)、「貿易摩擦の激化」(14.5%、前年データなし)がランクイン。悪化する中国と米国の経済関係を不安視する見方が広まっている。

景気悪化の懸念材料は「消費税制」がトップ
景気悪化の懸念材料は「消費税制」がトップ

   「今後の景気回復に必要な政策は何か」(複数回答可)との質問では、「人手不足の解消」が42.7%(前年データなし)でトップ。関連する「雇用対策」(27.9%、前年比1.4ポイント減)も5位にランクインした。

   税制関連では「個人向け減税」(29.4%、5.4ポイント減)が4位、「消費税引き上げへの対策」(27.6%、前年データなし)が6位、「法人向け減税」(26.9%、5.0ポイント減)が7位だった。

   企業からは、個人消費促進のため、中流階級の所得増加策や低所得者層の底上げ策を期待する声があがり、歳入庁の創設や人手不足対策としてのAI活用、フィンテックの発展などを期待する意見もあった。

   なお、調査は2018年11月16日?30日に実施。有効回答は9746社。回答率は42.3%だった。