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上場企業倒産は昭和の3倍! 荒々しかった平成の景気事情を振り返る

   東京商工リサーチは「平成」30年間の上場企業の倒産状況を振り返る調査結果を、2018年12月28日に発表した。30年間の倒産件数は累計で233件、負債総額は約22兆円に達した。

   バブル崩壊後に先送りされた不良債権処理、金融危機、リーマン・ショックなど、国内外の想定外の事態に次々と翻弄されたが、後半5年間は累計6件と沈静化をみせた。

  • 「昭和」より倒産が多かった「平成」
    「昭和」より倒産が多かった「平成」
  • 「昭和」より倒産が多かった「平成」

バブルに始まり、イラク戦争、リーマン・ショックに翻弄され......

   調査によると、2018年の倒産は6月に会社更生法を申請した日本海洋掘削(負債904億円)だけだった。世界の海上での石油や天然ガスの掘削事業を国内で唯一手がける会社で、油田やガス田掘削の需要低迷が響いた。上場企業の倒産としては9か月ぶりで、比較的落ち着いた1年だったといえる。

   「平成」が始まった1989年と翌90年はバブル真っ只中で、上場企業の倒産はなく、平成初の倒産は1991年8月のリースマンション分譲のマルコー(負債2777億円)だった。ゼロ件でスタートした平成の倒産だったが、小泉純一郎内閣による金融機関の不良債権処理が打ち出された2002~03年は48件発生、第1次ピークを迎えた。

   そして、リーマン・ショックで世界同時不況に陥った2008~09年は53件が発生し、第2次ピークとなった。その後、緩やかな景気回復を背景に上場企業の業績は急速に持ち直し、2010年の10件を最後に、2011年から2桁を割り込んだ=図表1参照。なかでも、安倍晋三内閣によるアベノミクス(2012年12月~)が始まった2013年以降は、2014年と2016年のゼロ件を含め、6年連続3件以内で推移している。

「平成」30年間の上場企業の倒産(グラフは、東京商工リサーチ提供)
「平成」30年間の上場企業の倒産(グラフは、東京商工リサーチ提供)

   年間倒産の最多は、リーマン・ショックがあった2008年の33件。次いで、不良債権処理が進んだ2002年の29件、リーマン・ショック翌年の2009年の20件、イラク戦争開戦の2003年の19件の順だった。

最大の倒産はマイカルの負債1兆6000億円

   平成30年の間で負債額の最大は、2001年9月の総合スーパーのマイカルで、1兆6000億円だった。次いで、2017年6月の自動車部品製造のタカタ(負債1兆5024億円)、1996年10月の住宅ローン保証の日榮ファイナンス(負債1兆円)、2000年5月の信販・クレジットカードのライフ(負債9663万円)、同年7月の百貨店そごう(負債6891万円)と続く=図表2参照

「平成」30年間の上場企業倒産・負債額ランキングン
「平成」30年間の上場企業倒産・負債額ランキング

   平成と昭和の倒産件数を比べるとどうなるか。平成の30年間は、年平均で7.7件発生した。一方、東京商工リサーチが全国倒産集計を開始した1952(昭和27)年から1988(昭和63)年までの「昭和37年間」の倒産は合計95件で、年平均2.5件にとどまる。

   上場企業数が異なり単純比較はできないが、平成は昭和の3倍のペースで上場企業倒産が発生したことになる。景気の変動から見ると、戦後の復興から立ち直って高度経済成長期が続き、坂の上の雲を目指した昭和に比べ、平成は山あり谷ありの荒々しい時代だったといえそうだ。