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働く主婦の家計2019 「厳しくなる」「楽になる」の二極化 いったいなぜ? 専門家に聞いた

   2019年10月には消費増税が予定されているが、働く主婦の家計は、厳しくなる人と楽になる人の二極化が進みそうだ。

   主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイル(東京都新宿区)の調査機関「しゅふJOB総研」が2019年1月15日に発表した「2019年家計の予想」調査でわかった。

  • 働く主婦の家計は大変!(写真はイメージ)
    働く主婦の家計は大変!(写真はイメージ)
  • 働く主婦の家計は大変!(写真はイメージ)

「消費増税と子どもの進学で苦しくなりそう」

   調査によると、2019年の家計は「ゆとりできそう」と予想する人がわずか14.0%。逆に、「苦しくなりそう」が6割近い55.7%となり、それぞれ前年調査より、2.1ポイント、6.8ポイント増えた=図表参照

2019年の家計はどうなるか
2019年の家計はどうなるか

   その分、「変化はなさそう」の昨年の39.2%から30.3%へと、8.9ポイントも減った。苦しくなりそうな人が大半だが、余裕のある人とない人の格差が広がりそうなのは、いったい、どういうわけだろうか。

家計予測の前年比較
家計予測の前年比較

   どうして家計が苦しくなりそうなのか。フリーコメントに寄せられた意見を見ると――。

「消費税増税となるうえ、学費がかかる」(40代:契約社員)
「子供にかかるお金が増えるのに収入が増えない」(40代:パート/アルバイト)
「小さな子にはたくさんの補助金が国からでるが、高校生、大学生を持つ家庭は、とにかく生活が苦しくなるばかり」(50代:その他)
「子供が大学に進学する」(40代:その他)

などと、消費増税や子どもの進学を理由にあげる人が非常に多かった。

   また、

「2人目の不妊治療を始めるため、すごくお金がかかる」(40代:SOHO/在宅ワーク)
「2人目を希望しているので、妊娠したら確実に火の車。でも子どもがほしい」(30代:パート/アルバイト)

などと、妊娠を理由にあげる人も目立った。このほか、

「仕事時間数が、少なくなるため」(40代:パート/アルバイト)
「夫が定年になる」(50代:派遣社員)
「介護にお金がかかる」(50代:パート/アルバイト)

などの理由もあげられた。

「在宅で仕事ができ、資産運用も順調」

   一方、逆に「ゆとりができそう」と回答した人の意見は――。

「遺産を相続した」(40代:正社員)
「夫が出世した」(40代:今は働いていない)
「ローンを返し終わった」(30代:正社員)

などの、ハプニング的な収入増をあげる人が目立った。

   また、自分から積極的に仕事を始めた人も多い。

「在宅で仕事できる環境が整ってきた」(40代:SOHO/在宅ワーク)
「資産運用が上手くいっている」(50代:派遣社員)
「働く選択肢が増えて掛け持ちが出来る」(30代:パート/アルバイト)
「10年ぶりに私が仕事を始めた」(40代:派遣社員)

などだ。

   さらに、子どもが大きくなって、おカネがかからなくなった人も少なくない。

「子供が就職し、学費の負担がなくなる」(50代:派遣社員)
「子供が小学生になるので、保育料を払わずにすむし、働く時間が確保しやすくなる」(30代:SOHO/在宅ワーク)
「末っ子が中学生になり、やっと扶養から外れて働ける」(40代:派遣社員)

などだ。

   ところで、働く主婦が本業の仕事以外に家計を増やすには、どうしたらよいか。その方法を聞くと(複数回答)、「ポイントをためる(Tポイントなど)」(42.2%)で、次いで「副業」(41.3%)、「中古品など所有物を売る(メルカリ・ブックオフなど)」(38.3%)が、ベスト3となった。

家計の向上は働き方改革でできた時間活用がカギ

   こうした傾向について、会社ウォッチ編集部の取材に応じた「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長はこう語る。

「昨年、働き方改革関連法が成立。今年4月から施行されます。働き方の変化は生活の変化に直結して、家計にも影響を及ぼす可能性があります。『いよいよ、法律で改正した内容がいい効果を示し始める』という期待があってもよさそうなのに、『家計が苦しくなりそう』との回答が実に6割に及び、昨年より約7ポイントも増えています。この結果を見て、真っ先に頭に浮かんだのは今年10月に予定されている消費税率の引き上げです。フリーコメントを見ても、消費税増税に関するものがたくさん見られました」

   しかし、その一方で「家計にゆとりができそう」と回答した人が2018年より2.1ポイントも上がっている。この格差の拡大はどういう理由だろうか――。

   川上さんは、

「余裕がある人の比率が、わずかながら増えているのは、女性就業率の高まりに表れているように、結婚・出産後も収入を得る女性が増えてきていることがあげられます。パート・アルバイトなどの時給相場も上昇しているし、配偶者控除枠内で働いていた人にとっては、年収上限が103万から150万に引き上げられて収入を増やせるようになったことの影響が考えられます」

   と説明。家計をよくするための方法を、こうアドバイスした。

「今後のカギを握ってくるのは時間の使い方です。働き方改革で最初に効果が表れるのは労働時間の短縮です。働き方改革で時間が生み出されるようになった際、その時間をどう使うか。副業に回せば新たな収入を獲得できますし、早く帰宅して家族と一緒に食卓を囲めば外食に回っていた費用を抑えることができます。一方、労働時間の短縮は収入減に直結する可能性もあるので、不安要素にもなります。各家庭で、今後生み出される時間の家計への影響と有効活用法について検討してみてはどうでしょうか」

   なお調査は2018年11月19日~11月28日、インターネットを通じて528人の働く主婦にアンケートを実施した。(福田和郎)