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社長の7割が「トイレ掃除」担当 業績アップのためなら!

   パナソニックの創業者、松下幸之助翁は人材教育のなかで掃除の励行を重視したことで知られ、自らトイレ掃除の手本を示したエピソードも残されている。

   その成長ぶりにあやかろうとしたのか、社長を対象にした調査で、会社や自宅を問わず、自らトイレ掃除をするという社長が7割に達したことがわかった。

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トイレは健康運や金運にかかわる

   開運のための環境学といわれる古代中国の思想、風水では、さまざまなものの要素となる、いわゆる「気」が玄関から入り、トイレから出るとされ、その状態がよくないと排出が滞り、邪気が内部に滞留するとされる。また、トイレは健康運や金運にかかわるところでもあるという。

   企業のブランディング支援サービスなどのESSPRIDE(エスプライド、東京都渋谷区)の「社長のパワーアップ・ゲン担ぎ」をめぐる調査によると、100人の社長に会社、自宅を問わず自分でトイレ掃除をするか聞いたところ、70人が「する」と回答した。

質問「自分で(会社、自宅を問わず)トイレ掃除をするか」(単数回答 n=100)

   とくに製造業やサービス業の企業では、職場管理の基盤づくりや向上・改善には「5S活動」の有効性が言い伝えられているが、その5つのSは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」。社長の多くがトイレ掃除を実践しているのは、経営について学んだからでもあるようなのだ。

   調査では、トイレ掃除の効果といえるようなことがあったとも示されている。

   自分でトイレ掃除をする社長としない社長で、直近の期の業績(営業利益)を比較。自分でトイレ掃除をする社長のうち52.9%が、業績が「上がっている」と回答した一方、掃除をしない社長で「上がっている」と答えた割合は43.3%にとどまった。

質問「会社の直近の期の業績(営業利益)について」(単数回答 n=100)

   調査したESSPRIDEでは「『トイレの神様』が存在するかはわかりませんが、自らトイレ掃除をする心構えは、ビジネスへの向き合い方とその結果に影響を及ぼすのではないか」と述べている。

掃除や整理、整頓など「5S活動」は成長のカギ

   掃除などの5S活動と経営との相関関係については、アカデミックな研究の対象にもなっており、経営者にとっては、じつは掃除や整理、整頓は「ゲン担ぎ」とばかりで片づけられるものではない。幸之助翁ばかりではなく、ホンダの創業者、本田宗一郎氏もトイレ掃除を重要視していたことが知られる。また、現代のビジネスリーダーのなかにも、トイレ掃除の実践が成長へのカギとなった経営者がいる。

   『トイレ掃除の経営学 ~Strategy as Practiceアプローチからの研究』(白桃書房)や『掃除と経営歴史と理論から「効用」を読み解く』(光文社)、『そうじ資本主義 ~日本企業の倫理とトイレ掃除の精神』(日経BP社)などの著書がある日本大学経済学部の大森信教授(経営学)は、それらのなかで、日本企業が国際的な競争を勝ち抜いて来られたのは「掃除」を発露とするような精神的土壌があったからと指摘している。

神頼みは少数派

   調査では、また社長として経営に関して「神様や仏様など、超自然的な存在に頼ること」があるかどうかを質問。ビジネスの場面で「神様、仏様......」などと唱えたことがあるかを聞いたところ、38.0%が「ある」と答えた。

質問「ビジネスの場面で『神様、仏様...』と祈ったことがあるか」(単数回答 n=100)

   やはり、実効が期待できるトイレ掃除と比べると、神頼みは少なかった。

   さらに、実際の効果(結果)との相関関係が偶然と考えらえるようなゲン担ぎの行為には、現代の社長らはあまり関心がないようだ。

   「ビジネスにおける重要な日取り(商談日、契約日、行事の日等)を決める際に、六曜(大安、仏滅等)を気にするか?」という質問には、64.0%が「気にしない」と回答。「経営上の重要な意思決定で占いや風水を参考にすることがあるか(したことがあるか)?」には、88.0%が「参考にしていない(したことはない)」と答えた。

質問「経営上の重要な意思決定で占いや風水を参考にすることがあるか(あったか)」(複数回答 n=100)

   なお調査は、全国で従業員2人以上300人未満の会社を経営する20~59歳の社長100人を対象に、2018年12月25日にインターネットで実施した。