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「電話に出ない新入社員」にブチ切れた先輩の投稿が話題 対処法を専門家に聞いた

   新人が入社してから3週間が過ぎた。すでに職場に配属された人も多いだろう。最近の若者は固定電話のかけ方を知らないといわれて久しいが、「頑なに電話をとらない新入社員」にブチ切れた先輩の投稿がネットで話題になっている。

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、ビジネスマナーの専門家に、新入社員にどんどん電話をとらせるようにするにはどうしたらよいか聞いた。

  • 新入社員の第一歩は電話から(写真はイメージ)
    新入社員の第一歩は電話から(写真はイメージ)
  • 新入社員の第一歩は電話から(写真はイメージ)

「殴ってやれ」「受話器をガムテープで頭に固定しろ!」

   話題になっている投稿は、2019年4月12日、2チャンネルに職場の先輩らしき人物が「【急募】頑なに電話を取らない新入社員に取らせる方法」なるスレッドを立てたものだ。投稿者によると、新入社員は上司から一応マニュアルを教えられている。周りは忙しいのだから電話くらい取るのが新人の仕事なのに、1コールで取らないため、投稿者が2コール目で舌打ちしながら取る始末だ。

   「なぜ取らないの?」と問い詰めると、「はい」「すみません」としか言わない。それで済むと思っている態度に「イラッとくる。ほんま行く末が不安だわ。さすがにハズレ引いたかね」と怒り心頭のありさまで、「いい加減イビったろうかな」という不穏な言葉まで書き込んでいる。

   これに対しては、

「受話器をガムテープで頭に固定しろ」
「次取らなかったら殴ればいい」
「電話取らなきゃクビにすると言えばいい」

といった感情的なパワハラコメントが殺到する一方、こんな具体的なアドバイスのコメントも――。

「新人君、自信がないんだ。再度教えたうえで、しくじっても俺がケツを持つと伝える方向で」
「電話の横にマニュアルを置いておく。最初のうちは相手の名前、用件だけ聞いて上司に代わるようにする。代わったら横に立たせてスピーカーにして、対応の見本を見せるといい」

「新人に電話をとらせるほうがおかしい」

   また、そもそも「新人に電話をとらせるほうがおかしい」という指摘も少なくなかった。

「電話対応ほど難しいものはない。相手からどんな話がくるかわからないし、それを正確に新人が伝えられるわけもない。客にも失礼で混乱するだけ」
「電話対応って新人にやらせるべきじゃない。業務が少しわかってきた2年目以降の人にやらせるべき」

   どうしたら電話を怖がる新人に電話をとらせることができるのか、また、そもそも新人に電話をとらせるべきなのか。J-CASTニュース会社ウォッチでも連載コラムを持ち、ビジネスマナーとコミュニケーションに詳しい篠原あかねさん(スマートコミュニケーションズ代表)に聞いた。

――新人研修で多くの企業を回られていますが、電話をとらない新入社員は増えているのでしょうか。

篠原あかねさん「はい、とても多いです。生まれた時から家に固定電話がない人が多く、スマホで育った世代ですから、電話の出方がわからないのです。笑い話ですが、職場にかかってきた電話に、開口一番、『ハイ、もしもし』と言ったりする人がいます。それって、携帯に友人からかかってきた時に出る言葉ですよね。
電話のとり方、出方を知らないし、何を聞かれるかわからないから出るのが怖い。今の若者は失敗をとても恐れます。リスクを冒したくない。失敗するくらいなら出ないほうがいいと考えるのです」

「電話に出るといいことがいっぱい」とメリットを教える

――そういう新人にどう指導したらよいのでしょうか。

篠原さん「電話に出るとこんなにいいことがあるよ、とメリットを教えるのです。○○さんに電話です、と取り次ぐことによって会社の中にどんな人がいるかわかる。問い合わせに答えることによって、会社の商品や業務を知ることができるし、どんな取引先がいるか覚えられる。いっぱい電話をとった人の方が早く仕事ができるようになるよ、と考えさせることです。
『新人だから電話に出ろ』という昔の徒弟奉公のような言い方をしても通じません。今の若い人は優秀ですから、『なぜ新人が出なくてはならないのか?』と、本人が論理的に頭で納得しなければ動きません」

――メリットから教えるわけですね。やはり、新人である時期に積極的に電話をとらせたほうがいいのですか。

篠原さん「はい。今の時期がチャンスなのです。私は研修の場ではこう説明しています。『4月のこの時期は、取引先だって新人が電話に出ることはわかっています。だから、あなた方が多少まごまごしたり、敬語の使い方を間違えたりしても、向こうは初々しいなあと好意的に思ってくれていますよ』と。
電話に出る恐怖をやわらげるには、こんな方法を教えています。対応に困った時は、保留を押してしばらく電話から離れ、気を落ち着かせるといいと。先輩や上司に相談したりして、30秒以内に戻ってきて、また電話に出ればいいのです。また、こうも言っています。『電話のいいところは、本人が目の前にいるわけではないこと。怖いクレームの相手から、東京湾に沈めるぞ!と怒鳴られても、相手が電話口から飛び出してくるわけはないでしょう?』と」

――なるほど。新人研修では、電話の応対の仕方は必ず教えたほうがいいのですか。

篠原さん「はい。新人の不安を取り除くためにもマニュアルは必ず作ってください。まず、『○○会社でございます』と挨拶。『□□でございますね。呼んでまいります』と返事をする......。そして最後は『私、△△が承りました』と確認するといったふうに、電話器の前にクリアファイルに入れておき、順番に読み上げれば対応できるようにしておくのです。
それと、新人は固定電話の使い方を知らない人が多いですから、管理職や先輩は、保留、転送、それも内線電話を押してやるのかどうかなど、細かい機械操作から丁寧に教えてください」

(福田和郎)