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【投資の着眼点】投資の良書5選 先人たちから得るものは多い

   これまで記事で、「投資の良書」と呼べるような書籍をいくつか紹介してきた。 そのうち、印象に残っているものを詳しく紹介したい。★の数は、個人的な評価だ(10点満点)。

   ここで紹介するのは、海外で人気な投資書籍で、日本語にも翻訳されている書籍である。

  • 先人たちの「教え」は本にある
    先人たちの「教え」は本にある
  • 先人たちの「教え」は本にある

投資には天性の才能が必要なのか?

「タートル流投資の魔術」カーティス・フェイス著(徳間書店刊)★★★★★★

   1980年代の米国で、大物投資家二人がある賭けをした。一人は「投資は天性の才能が必要で、誰かに教えることはできない」と主張。もう一人は「投資家になりたいと思う人に投資を教えて、投資家を育てることは可能だ」と信じていた。どちらが正しいか実証するため、全米から総勢20人の投資家の卵を集めて、実際に二人が投資教育を受けた。

   これが「タートルズ」と呼ばれる計画だ。本書では、その取引手法が公開されている。

   個人的には「システム化された投資手法」という印象を受けた。取引のルールが明確で、勘に頼る必要がないからだ。まさに「不朽の名作」だと思っている。

   「タートル流投資」は過去のチャートを用いた検証が容易であるため、取引したい金融商品の過去の運用成績を手軽に確認することができる。

「オニールの成長株発掘法」ウィリアム・J.オニール著(パンローリング刊)★★★★★★

   前述の「タートル流投資」は「順張り」の手法であり、株価が現在の何倍にもなるような株を見つけて買う「成長株投資」と相性がいい。

   なお、この作品の原書「How to Make Money in Stocks」は、米国では200万冊以上も売れている、専門書としては異例のベストセラーだ。米国では、図書館にも置いてあるらしい。

   「オニールの成長株発掘法」は非常に取引ルールが明確で、判断基準が極めて合理的だ。1960年代から一貫して成果を上げている。本書は600ページ以上にわたる大作である。読破するのに時間はかかるが、それ以上に学んだものは多かった、と感じている。

   本書は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両面から、株式投資を解説している。

失敗の数々は注意して、繰り返し読む

「マーケットの魔術師」ジャック·D シュワッガー著(パンローリング刊)★★★★★★

   米国で大成功したトレーダーやファンドマネージャーのインタビューが綴られている。シリーズになっていて、最初の作品は1980年代に出版された。本編は全部で4冊ある。多くのトレーダーやファンドのマネージャーが、口を揃えて言うことがある。「損切りは素早く、利益は伸ばせ」といった投資の格言などが、それだ。

   インタビューを受けたトレーダーや投資家は、いろいろな性格の人がいる。もし、自分と似た性格のトレーダーや投資家を見つけることができたなら、その人のたどった成功までの道筋や失敗の数々には特に注意して、繰り返し読むといいだろう。

   インタビューには、前述のウィリアム・J.オニール氏や、後述のマーティン・シュワルツ氏やマーク・ミネルヴィニ氏などの投資書籍のベストセラーの著者である大物投資家が数多く登場する。彼らの考えをより深く知るためにも、本書は大いに役立つことだろう。

「ピット・ブル」マーティン・シュワルツ著(パンローリング刊)★★★★

   前述の「マーケットの魔術師」に登場したトレーダー、マーティン・シュワルツ氏の自伝。彼が経験した相場での初歩的なミスの数々から、輝かしい成功を収めるまでのストーリーが語られている。

   「損切りは素早く、利益は伸ばせ」という投資の格言とは反対に、彼は損切りをするのが苦手だったようだ。そのせいか、彼は相場で勝てるようになるまでに、9年もの歳月を費やしている。もし損切りが苦手なら、読むと収穫があるかもしれない。

「ミネルヴィニの成長株投資法」マーク・ミネルヴィニ著(パンローリング刊)★★★★★

   全米トレードコンテストで優勝したトレーダー、マーク・ミネルヴィニ氏の書籍。彼の手法は「オニールの成長株投資」との類似点が非常に多い。

   ハーバード・ビジネススクールを卒業したエリートのオニールと、貧しい家庭の出身で中学を中退しているミネルヴィニが似たような手法に行きついたのは、非常に興味深い点である。相場で成功するのに、学歴は関係ないことを教えてくれる。(ブラックスワン)