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話題のスマホ決済 一番使いやすくてオトクなのは? 知って安心、種類と注意点

   いまや百花繚乱のスマホ決済。2019年7月には、新たにコンビニ大手の「7Pay」(セブンペイ=セブン-イレブン)や「フェミペイ」(ファミリーマート)が参入。とにかく、たくさんの種類があって、迷ってしまいます。

   小銭いらずのキャッシュレスは便利だけど、いったいどれを選べばいいのか、どれが使いやすくてオトクなのか――。ITジャーナリストの久原健司さん、教えてください!!

  • いくらスマホ決済が流行っているからといってむやみに手を出すと……
    いくらスマホ決済が流行っているからといってむやみに手を出すと……
  • いくらスマホ決済が流行っているからといってむやみに手を出すと……

カード払いからスマホ決済へのステップ1

   スマートフォンによるキャッシュレス支払いの手段はいろいろ。最近流行のQRコードを使った「○○Pay」決済は、キャッシュバックキャンペーンの破壊力もあって話題ですが、まずは「カード機能」がスマホに搭載されたタイプから。こちらは、Suicaなど前払いのプリペイドカードとデビットカードなど即時払いのリアルタイムペイ、各種クレジットカードなど後払いのポストペイの3種があります。

   あなたが今、スマホ決済を利用しているのであれば、この機能のどれかが、スマホに搭載されているワケです。

   それぞれの概要とメリット、デメリットについて、久原さんはこう説明する。

「現在、最も普及率が高いのが、クレジットカードのポストペイ。購入した商品の代金をクレジットカード会社が肩代わりし、後日利用者が支払う仕組みですが、クレジットカードのメリットは利用した金額によるポイント還元サービスです。貯まったポイントは商品やサービス、電子マネー、他社のポイントに交換可能で、ポイントは実質的に現金と同じ価値として利用することができます。 半面、デメリットは入会審査があることや年会費がかかること。また、使いすぎてカード会社への毎月の返済が滞ると、その後カードが使えなくなったり、銀行などでローンが組めなくなったりする可能性があります」

   プリペイドカードには、SuicaやPASMO、Edyなどの電子マネーを利用できるICカードや、図書カードやiTunesカードなどがあります。そのメリットとデメリットは?

「プリペイドカードはクレジットカードのような入会審査がなく、銀行口座も必要ありません。プリペイドカードを買う、またはチャージするお金があれば、利用できるのが最大のメリットです。 代金はすでに支払い済みなので、クレジットカードのような使いすぎの心配もありません。ただし、Suicaなど一部のカード以外は払い戻しができないデメリットがあります。また、追加チャージができないタイプのプリペイドカードには、残高を使い切るのが難しい場合もあります」

と、久原さん。自分が使いやすいのは、どのタイプのプリペイドカードか、事前に確認しておく必要がありそうです。

「○○Pay」がもてはやされるワケ

   銀行が盛んに宣伝しているのが、デビットカードです。デビットカードは、銀行口座を持っていることが条件で、キャッシュカードをそのまま利用することができるのがポイント。

「入会審査がなく、クレジットカードを持てない人も持つことができます。代金は利用した時に銀行口座から即時決済(引き落とし)されるので、口座残高の範囲内であれば、何度でも利用できます。ただ、分割払いができない点がデメリットです」(久原さん)

   では、最近話題のLINE PayやPayPay、楽天ペイなど、さまざまな「〇〇ペイ」が誕生しているスマホ決済は、どのような仕組みなのでしょう。

「まず、スマホ決済アプリには、QR決済と非接触IC決済の2種類があります。QR決済は、支払いのときにスマホに表示させたQRコードをレジの専用端末に読み取らせる、または店舗のQRコードをスマホで読み取ることで決済します。 一方、非接触IC決済は、クレジットカードや電子マネーなどを登録したスマホを端末にかざすだけで決済できる仕組みで、『おサイフケータイ』も非接触型決済の一つです。 どちらかというと、非接触IC決済のほうが利用者にとっては手間がかからず便利ですが、店舗のQRコードをスマホで読み取るQR決済は店舗側で決済機器を導入する必要がないので、店舗側の敷居が低くなっており、今後はますます普及が進むでしょう」(久原さん)

   つまり、〇〇ペイは「QR決済」なのです。では、実際どれが一番使いやすく、オトクなのでしょうか。

「PayPay」の後ろ盾は、あの会社!

   久原さんが一番使いやすくてオトクだと思うQRコード決済は、PayPayだそうです。

「PayPayはソフトバンクがバックにいて、大規模なキャンペーンや店舗への導入営業など、資金を潤沢に投下していますし、今後も投下すると思います。 また現在、初期費用、月額費用、手数料、振込手数料(ジャパンネット銀行以外は2020年7月1日以降有償化する場合があります)も現在すべて無料で、入金タイミングもジャパンネット銀行では翌日振込で、その他金融機関でも最短翌々営業日と他社を圧倒していますから、導入する店舗は増加するとみられます」(久原さん)

   2019年10月には、消費税が8%から10%に増税される予定です。その後9か月間にわたってキャッシュレス決済を行うと、5%または2%のポイント還元が受けられるようになるとされます。

「具体的な対象店舗はまだはっきりしていませんが、中小の小売業、飲食店、宿泊施設などは5%還元、大手チェーンのコンビニ、レストラン、ガソリンスタンドなどは2%還元される見込みです。つまり現金で買い物をするより、キャッシュレス決済のほうがオトクになるというわけです」(久原さん)

   久原さんに、キャッシュレス支払いを使ううえでの注意点を聞くと、「利便性を悪用した詐欺や不正使用などの犯罪に巻き込まれることがあるので注意が必要」とのこと。「不審なメールやメッセージに返信したり、クレジットカード番号、IDやパスワードなども入力したりしないよう気をつけてください。身に覚えのない料金請求は、払う前に、その請求が正規のものか確認するようにしましょう」と言います。

   スマホ決済が流行っているからといって、むやみにあれこれ手を出しては、かえってムダ遣いにつながったり、管理しきれなくなったりする可能性があります。カードの使い勝手、買い物する場所やよく買う商品など、自分に合ったサービスを厳選して賢く使いこなしたいものですね。


今回お話を聞いた方―-――――

久原 健司(くはら・けんじ)
株式会社プロイノベーション 代表取締役
日本一背の高いITジャーナリスト
1978年生まれ。2007年、29歳で株式会社プロイノベーション(http://proinnv.com/)を設立。18年に「振り向くホームページ」サービスを開始(http://furimuku.com/)。プロのフリーランスの力で企業の成長をサポートすることで、フリーランスとしての働き方を応援する傍ら、ITジャーナリストとしてさまざまなwebメディアで活躍中。