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人手不足倒産が止まらない! 過去最高 「求人難」「退職」が倍増

   深刻な人手不足が止まらない。2019年上半期(1~6月)の「人手不足」関連倒産が前年を上回り、過去最高を記録した。東京商工リサーチが7月8日に発表した。

   2019年上半期の「人手不足」関連倒産は191件で、前年同期比3.2%増。前年同期を上回ったのは3年連続で、集計を開始した2013年以降、上半期では2018年の185件の最多記録を塗り替えた。

  • 町工場も人手不足が深刻だ
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人手確保難しく、「求人難」型が2.4倍増

   人手不足倒産を要因別でみると、最多は代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型の109件(前年同期は146件)で、全体の6割弱を占めた。ただ、前年同期と比べると25.3%減った。

   人手確保が困難で経営難に陥った「求人難」型は47件(同19件)で、前年同期から2.4倍増(147.3%増)。また、中核社員の独立や転職などで事業継続に支障が生じた「従業員退職」型も20件(同10件)で2倍増(100%増)と、いずれも急増。賃金などの人件費アップから収益が悪化した「人件費高騰」型が15件(同10件)だった=下表参照。

   「求人難」型は2.4倍増(前年同期比147.3%増)と、増加率が最大だった。

   現状ペースで推移すると、2019年(1~12月)の「人手不足」関連倒産は過去最多を塗り替える可能性が出てきた。

   産業別でみると、最多がサービス業他の63件で、前年同期比26.0%増。次いで、建設業の33件(前年同期比3.1%増)、製造業の22件(31.2%減)、卸売業19件(45.7%減)、運輸業18件(2倍増)、小売業17件(21.4%増)と続いた。

九州で2倍増、近畿が1.4倍増

   2019年上半期の人手不足倒産を地区別でみると、全国9地区のうち九州(18→35件)と近畿(18→25件)の2地区で前年同期を上回った。

   一方、減少したのは北海道(11→5件)、関東(81→74件)、東北(15→12件)、中部(23→22件)、北陸(2→1件)の5地区。中国(9件)と四国(8件)は横バイだった。

   都道府県別では、東京都が36件(前年同期39件)、福岡県が16件(7件)、神奈川県(9件)と大阪府(9件)がそれぞれ11件、愛知県の10件(15件)の順だった。

   東京商工リサーチによると、主な人手不足倒産には、新築住宅からマンション、アパートのリフォームなどを手がけていたオークラ(東京都世田谷区、負債総額3億2500万円)や特別養護老人ホーム「今川河童苑」や介護付有料老人ホーム「いまがわ秋桜ガーデン」を運営していた友愛会(福岡県、6億8000万円)、「さくらクリニック」などを運営する千陽会(千葉県、8億3000万円)、宮城県の玉松味噌醤油(大河原町、3億5000万円)などがある。いずれも人材確保に伴う人件費の高騰が要因という。