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国内銀行の約6割で給与アップ! 行員減は過去最多なのに......

   マイナス金利の影響などで厳しい収益状況にあるはずの国内銀行の約6割で、行員の給与が上昇していることがわかった。東京商工リサーチが2019年7月24日に発表した。

   2019年3月期決算で、81行のうち46行の年間平均給与が、前年よりも上回っていた。

  • 国内銀行の約6割で給与アップ!
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最高は東京スター銀行、地方銀行だけがダウン

   調査によると、国内の81の銀行の平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金)は、2019年3月期に619万5000円(中央値613万5000円)だった。前年同期の607万7000円から、1万8000円の増加。2016年以来、3年ぶりに前年を上回った。

   業態別にみると、大手行が前年より2万円増の759万7000円(中央値760万6000円)、第二地方銀行が8万円増えて554万9000円(同539万1000円)と上昇した。第二地銀と大手行の給与には、204万8000円(前年同期は210万8000円)の差があったが、この3月期にはその差が6万円縮小した。

   一方、地方銀行は前年を1万8000円下回る621万4000円(中央値624万4000円)。大手行と地銀の給与は138万3000円の差があった(前年は134万5000円の差)。前年同期と比べて、その差は3万8000円に広がった。

   平均給与が最も高い銀行は、第二地銀の東京スター銀行で926万6000円。前年の796万400円から、130万2000円も増えて、2013年以来6年ぶりにトップに返り咲いた。2位は三井住友銀行の820万3000円、3位はあおぞら銀行の803万7000円だった。

   反対に、最も減少幅が大きかったのは、投資用不動産の不正融資が発覚したスルガ銀行。2015年3月期からトップ3の常連だったが、8位にダウンした。800万8000円から71万8000円の減少で、729万2000円となった。

若手行員は早々に見切り? 行員数の減少は過去最多

   一方、行員数は81行の合計で、22万3778人だった。前年の22万7407人から3629人も減った。これは1179人減った2013年を大きく上回り、過去最多。

   業態別でみると、大手行は10万5124人で、前年同期と比べて1895人減った。地方銀行が9万4724人(前年同期比1245人減)、第二地銀は2万3930人(同439人減)と、全業態で減少した。 行員数が減ったのは、大手5行、地銀36行、第二地銀21行の合計62行で、前年の42行から20行も増えた。

   銀行の平均給与の動きは、2007年の651万5000円(中央値657万円)をピークに減少したが、13年に増加に転じた。しかし、16年に日本銀行がマイナス金利政策を導入すると、17年から再び前年を下回っていた。

   東京商工リサーチによると、銀行は低金利競争で収益環境が悪化。これらを背景に、内定辞退者の増加や若手行員の退職が目立つようになった。今後はさらに、AI(人工知能)を含む、フィンテック(金融サービスと情報技術を結びつけた動き)の浸透に伴う人員削減が進みそうで、そのため、人材確保のための時給アップだけでなく、福利厚生などの待遇改善を急いでいるようだ、としている。

   なお調査は、国内銀行の有価証券報告書などで、従業員数、平均年間給与、平均年齢が判明した81行(大手6行、地方銀行48行、第二地銀27行)を対象に、集計、分析した。