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ええっ、アダルトサイトを見る女子小学生がこんなに多い?! 調査で判明した意外な理由

   SNSなどをきっかけに子どものネットトラブルが増えているが、オンラインゲームとともにアダルト情報サイトや出会い系サイトをめぐる被害相談が上位を占めていることが、小中高生を対象にした国民生活センターの調査でわかった。

   特に、アダルト情報サイトを見て高額な料金を請求されるなどの被害が、小学生の男子ばかりか女子でも上位1~2位を占めている。親は自分のクレジットカードを無断で使われて、ショックが2倍の実態だが、いったい子どもにどう接したらよいのか。注意点を調査担当者に聞いた。

  • 子どもが「出会い系サイト」に興味?
    子どもが「出会い系サイト」に興味?
  • 子どもが「出会い系サイト」に興味?

被害の上位1、2位はアダルトサイトとオンラインゲーム

   調査は、国民生活センターが2019年8月8日に発表した「家族で防ごう! 子どものネットトラブル」だ。全国の消費生活センターに寄せられた小学生、中学生、高校生の本人や親からの相談事例をまとめた。「親に内緒で、オンラインゲームで高額な課金をしてしまった」「無料のはずのアダルトサイトを見ていたら、高額のカネを請求された」「出会い系サイトで女性と知り合ったが、相手はサクラだった」などの相談例が多い。

   小・中・高校生のネットトラブルは、2016年は全国で計8218件、2017年は5963件、2018年は66548件だった。

   内容を見ると、子どもに大人気の「オンラインゲーム」が過去3年で1~3位に入っている。しかし、「アダルト情報サイト」は、上位1~2位を独占している。また、「出会い系サイト」も上位7~10位の間に入っている=表1参照

(表1)小学生の男子・女子のネットトラブルの上位
(表1)小学生の男子・女子のネットトラブルの上位

   この内容を、小学生、中学生、高校生それぞれの男子・女子別に見ると、「アダルト情報サイト」はいずれも男子・女子を問わず、コンスタントに上位に入っている。

   たとえば、小学生の男女別を見ると、3年連続で男子・女子ともに1~2位に入っている=表2参照。これは、どういうことか。アダルトサイトを見ている小学生の女子がこれほど多くいるというのだろうか――。

(表2)小学生の男子・女子のネットトラブルの上位
(表2)小学生の男子・女子のネットトラブルの上位

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた、調査を担当した国民生活センター相談情報部の井上竜一さんは「小学生ではありませんが」と断ったうえで、女子中学生の次の事例を紹介した。娘が誤ってアダルトサイトにアクセスし、請求された費用を親に無断で支払ってしまったという父親からの相談だ。

   ――中学生の娘がスマートフォンで芸能情報を閲覧中に「もっと見る」というボタンをタップしたところ、アダルトサイトにつながった。娘は驚いてサイトを閉じようと画面のどこかをタップすると、「登録完了」になってしまった。誤操作の人向けの案内からメールを送ったが、「退会には40万円必要」と返信が来た。娘はそんな額は支払えないと思い、メールに記載の電話番号に連絡をした。相手から氏名や住所を聞かれた。「2万円なら支払える」と伝えると、コンビニでプリペイド型電子マネーを購入してその番号を伝えるよう指示され、電話で番号を伝えた。支払った2万円は仕方がないが、個人情報が悪用されないか心配だ――

「出会い系サイト」で騙される男女高校生

   井上さんはこう説明した。

「子どもが『無料 アダルト』などのキーワードで検索して見るケースがありますが、この事例のように、ほかのサイト、たとえばニュースサイトを見ている時に、あちこちをスクロール、タップしているうちにアダルトサイトにつながり、パニックになる事例も多いと思われます。というのは、アダルトサイトに関する相談は、小学生から高齢者まで、年代・男女を問わず、まんべんなく上位にくるからです。なぜかはよくわかりませんが、そもそもアダルトサイトはトラブルが非常に多いジャンルなのです」

   ネット上の画面に無数にあるバナー広告には、アダルトサイトにつながる罠が仕掛けられているケースが多い。頻繁にスクロール、タップを繰り返すうちに不用意にクリックしてしまう例が少なくないのでは、と井上さんは推測する。

   さて、「出会い系サイト」はどうか。さすがに小学生ではほとんど相談例はなく、中学生の男子に年間10数件、女子に10件ほど出てくる。高校生になると、男子に40~50件、女子に30数件とぐっと増えてくる。こちらは当人たちに「異性と出会いたい」「お金を得たい」というはっきりした目的意識がある。男子の場合は、出会いもないのにカネだけだまし取られる。女子の場合も「相談相手になるだけで高収入が得られる」という広告につられるが、やはりカネだけとられるケースが多い。

   たとえば、男子高校生の場合はこんな事例だ。

   ――出会い系サイトで女性と知り合い、ポイントを購入してやり取りを続け、実際に会うことになった。しかし、ポイントを消費させられるだけで、結局、会えなかった。ネットで調べると、女性はサクラで有名だとわかった。合計3万2000円のポイントを購入したのに、騙されたと思うと悔しい――

   女子高校生の場合はこんなケースだ。

   ――スマートフォンでアルバイトを検索中に「メール相談にのれば高額収入が得られる」と書かれたサイトを見つけて登録した。登録は無料だが、知り合った男性とやり取りを続けるにはポイント購入が必要だった。男性との相談が長引き、メールを続けるにはさらにポイント購入が必要となり、サイト運営事業の口座に計4万円を振り込んだ。しかし、アルバイト料は入らなかった。サイト運営事業者の電話番号や住所は不明だ。返金してほしいが、自分の電話番号や名前を知られていることも不安だ――

   井上さんが、こう説明する。

「出会い系サイトは、登録すると相手とのやり取りを続けるためにポイントを購入させられます。『1つのやり取りにつき○○ポイント』といった具合です。二つの事例のように、出会いもなく、お金も得られず、高額なポイント代だけを請求をされたといった相談が多いのです」

子どもが親のクレジットカードを「盗む」手口

   小中高生全体で一番多いのは「オンラインゲーム」のトラブルだ。親の知らないところで、オンラインゲームで高額の課金をして、子どもが無断で親のクレジットカードで支払い、あとで親が気づくケースに代表される。子どもも親も、ゲームが無料だと思っており、課金に気づかないケースが非常に多い。男子小学生の母親からの相談ケースは――。

   ――クレジットカード会社からのメールを見て、ゲーム会社での利用が約5万円もあることがわかった。息子に確認すると、私の財布から黙って持ち出したクレジットカードを使ってオンラインゲームで課金をし、アイテムを購入したことを認めた。私は許可していないので、取り消したいが...――

   ほかにも、親のクレジットカードを無断で使い、健康食品や化粧品、ブランドの洋服、靴などを、通販サイトなどを通じて購入するケースがあとを絶たない。いったい子どもたちはどうやって親のクレジットカードを手に入れて、使用することができるのか。

   井上さんはこう語る。

「子どもが親の財布からクレジットカードを持ち出す例が非常に多いです。子どもが暗証番号を知っていたり、すでに端末にクレジットカード情報が登録されていたりして、使うことができます。子どもが自宅の現金をこっそり持ち出し、プリペイド型電子マネーを購入するケースもあります。なかには、親のクレジットカードを友人に貸しているケースもみられます。親は、クレジットカード会社や携帯電話会社からの請求明細を見たり、使用済みのプリペイド型電子マネーが見つけたりして、初めて気づくケースが多いのです」

   いったい、親はこういう子どもにはどう対応したらよいのか。井上さんはこうアドバイスした。

「子どもには、現金を抜き取るわけではないので、親のクレジットカードを無断で使うことが盗みと同じだという意識はまったくありません。まず、泥棒行為であることをしっかり教えることです。そのうえで、親は自分のスマートフォン、タブレット端末、クレジットカードの管理をしっかり行なうことです。特に暗証番号の秘匿は徹底しましょう。そして、子どものインターネット利用について、日頃から家族でルールを話し合っておきましょう。インターネット上で知り合った相手とのやり取りがトラブルにつながることを子どもに認識させることも大事です」

(福田和郎)