J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

スゴすぎる「世界最優秀Teacher」と面会  トランプ米大統領はツイッターでどう反応した?(井津川倫子)

   世界にこんな人がいたのか......。2019年度の「Global Teacher Prize」(世界最優秀ティーチャー賞)に選ばれたケニア人の教師、ピーター・タビチ氏(36)がホワイトハウスでトランプ米大統領に面会しました。

   月収の8割を貧しい生徒たちに提供し、賞金の100万ドル(約1億1000万円)も生徒や地域のために使うと宣言しているタビチ氏。そんなタビチ氏にトランプ氏の反応は......。

  • たった一人「最優秀ティーチャー」に選ばれた!(写真はイメージ)
    たった一人「最優秀ティーチャー」に選ばれた!(写真はイメージ)
  • たった一人「最優秀ティーチャー」に選ばれた!(写真はイメージ)

ホワイトハウスは「みんなが感動した!」と連投

   2019年9月16日、国連総会でスピーチをするために米国を訪れていたピーター・タビチ氏が、トランプ大統領に面会したとホワイトハウスがツイッターで報告しました。

This morning, President Donald Trump met with Peter Tabichi, the recipient of the 2019 Global Teacher Prize!
(けさ、ドナルド・トランプ大統領は、2019年度の世界最優秀ティーチャー賞受賞者のピーター・タビチ氏に面会しました)
recipient:受賞者

   ツイッターで報告をしたのは、ホワイトハウス広報部長のステファニー・グリシャム氏。グリシャム氏は「タビチ氏に会って、みんなが感動した!」と連投しました。

Peter, you inspire us all!
(ピーター、私たちみんな、あなたに感動したわ!)
inspire:鼓舞する、元気づける、感動させる

   タビチ氏はケニア辺境の村にある中学校で数学と物理を教えています。今回、世界中から寄せられた1万人以上の候補者のなかから、たった一人「最優秀ティーチャー」に選ばれた超スーパー教師。まさに、「身銭を切って」貧しい生徒たちの「学び」を後押ししてきた「献身とハードワーク、生徒の才能に対する熱い信念」が称賛され、世界一に選ばれました。

   さすがに、海千山千が集まるホワイトハウスの面々も、タビチ氏の生き様には「みんな、感動した!」のだろうと思っていたら、何かがおかしいことに気がつきました。

   そうなのです! 肝心のトランプ氏が、まさかの「完全スルー」! 悲しいことに、米メディアもほとんどスルー。アフリカや英国のメディアが大々的に報じる姿とはあまりにも対照的でした。

   トランプ大統領は、タビチ氏に「感動しなかった」のでしょうか。「inspire」されるものがなかったとすれば、それはそれで興味深いです。

トランプ米大統領は「inspire」された?

   タビチ氏が受賞した「Global Teacher Prize」(世界最優秀ティーチャー賞)は、「教育で人々の人生を変える」という目的で5年前にドバイの財団が設立しました。

I would also like to be remembered for my dedication, hard work and passionate belief in my students' talents and abilities
(私は、献身的な姿やハードワーク、生徒たちの才能や可能性を信じる熱意で、人々の記憶に残りたい)

   財を成したり、名声を得たりするよりも、自身の「献身や熱意」で人々に記憶されたいと語るタビチ氏は、12年に及ぶ教師生活で、多くの貧しい子供たちの人生を変えてきました。

   干ばつや飢饉(ききん)が頻繁に発生している地域で、生徒の95%が貧しい家庭の出身。うち3分の1が孤児や一人親家庭の子どもで、薬物乱用や10代での妊娠、早期退学も珍しくないと報じられています。

   さらに、生徒58名に対して先生が1名で、パソコンは学校に1台しかなく、さらにインターネット環境が最悪という「劣悪な教育環境」だとか。それでもタビチ氏の「教育」の成果で、大学に進学する生徒が増えたり、理数系のコンテストで「ケニアの公立学校1位」になったり世界大会に進出するほどの「実力」になったというから驚きです!

   まだまだ36歳と若いタビチ氏。今後も、たくさんの生徒の人生を変えることでしょう。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、ホワイトハウスのツイッターから「inspire」を取り上げます。「鼓舞する」「元気づける」といった意味の動詞ですが、じつは感謝や尊敬の気持ちを表す時によく使う、便利な表現です。

   まずは、基本的な言いまわしを覚えておきましょう。「Thank You」の別バージョンとして、お礼状やカード、スピーチなどで使うといいでしょう。

You inspire me
(あなたに刺激を受けた、あなたを尊敬する)

   「a lot」を加えると、より深い感情を伝えられます

You inspire me a lot
(あなたにとても刺激を受けた、あなたを心から尊敬する)

   「inspire A with B」で、「AとBで刺激する」という意味になります。

You inspired me with a love of learning
(あなたに刺激を受けて、勉強が好きになった)

   ちなみに、ツイッター好きのトランプ氏は、タビチ氏に会った日に29回もツイッター投稿していました。にもかかわらず、タビチ氏については何一つ触れていないのですから、まったく「inspire」されなかったのでしょう。もしくは「inspire」されすぎて、ことばを失ってしまった...... なんてことはなさそうですね。(井津川倫子)