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「進次郎流」が裏目に!? 「cool」でなかった「セクシー会見」に二つの誤算(井津川倫子)

   進次郎氏、まさかの失態!? 小泉進次郎環境相の「セクシー」発言が波紋を広げています。

   米ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットの記者会見での発言を、ロイター通信が取り上げたとたん、またたく間に世界中に拡散! 国内外のメディアが飛びついた「セクシー会見」には、「二つの誤算」があったようです。

  • 小泉進次郎環境相「Sexy」発言が思わぬ波紋……(2017年撮影)
    小泉進次郎環境相「Sexy」発言が思わぬ波紋……(2017年撮影)
  • 小泉進次郎環境相「Sexy」発言が思わぬ波紋……(2017年撮影)

進次郎流「通訳なし」が招いた誤算

   「セクシー発言」が飛び出したのは、国連気候行動サミットの前に行われた記者会見でした。海外の主要メディアを前に、通訳を介さずに英語で通した進次郎氏でしたが、ロイター通信のこの報道が引き金となって、世界中のメディアに「セクシー発言」が広がりました。

Make climate fight 'sexy,' says Japan's new environment minister
(気候変動対応は「セクシーに」、日本の新環境大臣が発言)
environment:環境
minister:大臣

   すでに報じられているとおり、進次郎氏は気候変動問題への取り組みを「It's got to be fun! It's got to be cool! It's got to be sexy!」(楽しく、かっこよく、セクシーなものに!)と発言しています。どういった流れで「セクシー発言」が飛び出したのか、背景を調べてみたら意外な事実がわかりました。

   じつは、「fun(楽しく)」「sexy(セクシーに)」も、進次郎氏の持論ではありませんでした。「fun」は、会見の前に行われたクリーンエネルギーを推奨する企業家たちとの会合で、出席者の一人が発言したことばです。

   進次郎氏は、その発言が「気に入った」と引用しつつ、隣に座っていたコスタリカの女性外交官、クリスティアナ・フィゲレス氏が「sexy(セクシー)もね!」と付け加えたことを引用して、話題の「セクシー発言」になりました。

   「make green sexy」(グリーン問題に、セクシーに取り組もう!)は、フィゲレス氏の持論だったのです。

セクシー発言よりもダメージが大きかったのは......

   さらに、このフィゲレス氏は知る人ぞ知る「超大物」。国連気候変動枠組み条約前事務局長として温暖化対策の国際合意「パリ協定」をまとめた立役者で、今回もクリーンエネルギーを推奨する企業家たちとの会合に、進次郎氏を招いた張本人でした。おそらく、知名度の高い進次郎氏の「発進力」を期待してのことでしょう。

   そんな、海外の超大物たちと「英語」で議論を交わしたであろう進次郎氏。記者会見も通訳を入れずに挑みましたが、この「通訳なし」が一つ目の誤算だったと思います。

   会見の映像を観る限り、小泉氏の英語はなかなかのもの。時折、フィゲレス氏と笑顔を交わしながらの受け答えには、余裕すら感じました。進次郎氏を「味方」に取り込みたい「クリーンエネルギー推進派」の人たちには、きっと暖かく迎えられたことでしょう。

   ところが、海外メディアはそんなに甘くはありません。進次郎氏が「次期首相候補」であることも、「発言が注目される」ことも百も承知のうえで、「見出しになる発言」を引きだそうと狙いを定めていました。

   「なかなかの英語力」で「通訳なし」で挑むには、リスキーすぎたのではないでしょうか? 親しみやすさをウリにする「進次郎流」が裏目に出てしまったようです。

   二つ目の誤算は、進次郎氏お得意の「遠くを見つめながら話す」映像が流れてしまったことでしょう。

   会見で、「日本は化石燃料脱却へどのように取り組むのか」と質問された小泉氏。即答で「reduce!」(減らす!)と、お得意の断定調で勢いよく宣言しました。ここまでは想定どおりだったのでしょうが、海外メディアは甘くはありません。間髪入れずに「How?」(どうやって?)と、詰め寄られてしまったのです。

   返答に詰まってしまった進次郎氏は、無言で数秒間、遠くを見つめてしまいましたが、これはNG。「空っぽ」に見えてしまいます。

進次郎氏は「イケてた」?

   海外の政治家はとにかくディベートに慣れていますから、どんな質問にも必ず回答します。内容はともかく、堂々と自信を持って発言することで、「打たれ強く、頼れる政治家」の印象を植え付けます。その点、今回の進次郎氏の「無言の数秒間」は痛手でした。

   個人的には、セクシー発言よりもよほどダメージが大きかったと思っています。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、進次郎氏の発言から「cool」を取り上げます。「カッコイイ」とか「イケてる」といった意味で、ちょっとくだけた場でよく使います。

New iphone11 is cool!
(新しいiphone11はカッコイイ!)

「so」を加えると、意味が強調されます。
New iphone11 is so cool!
(新しいiphone11はめっちゃカッコイイ!)

   人をほめる時にも使います。

He is really cool!
(彼って、本当にカッコイイ!)

   今回の「セクシー会見」は、残念ながら「cool!」とはほど遠いものになってしまいました。海外での洗礼を受けて、どう巻き返しを図るのか。環境問題への進次郎氏の「cool」な取り組みに、世界が注目しています。(井津川倫子)