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飲みたかった幻のウイスキーを開封 でも仕事が...... そのとき、あなたは?

   会社が必要とする人物像、必要としない人物像。その違いとは?

   業種や規模にかかわらず、会社が欲しがる人材はズバリ「稼ぎ続けることができる」人材です。そして、稼ぎ続けるために必要なのは、「稼ぐスキル」と「稼ぐための思考や行動様式」になります。

   人事・戦略コンサルタントの松本利明さんは、PwC、マーサー、アクセンチュアといった世界を代表する外資系コンサルティング会社で人事コンサルティングに携わってきました。そんな松本さんがやってきた、人を選定する「目利き」の仕事の要点をご紹介します。

「稼げる人稼げない人の習慣」(松本利明著)日経ビジネス人文庫
  • あなたは「幻のウイスキー」を飲みに行きますか?
    あなたは「幻のウイスキー」を飲みに行きますか?
  • あなたは「幻のウイスキー」を飲みに行きますか?

「稼げる人」は物事を先送りしない

   仮に、あなたを大のウイスキーファンだとします。以前から、幻のウイスキーと呼ばれている「Xモルト」を読みたいと思っていました。閉鎖された蒸溜所の希少なシングルカスクボトリングですから、まさに幻のウイスキーです。ある日の17時を過ぎたころ、友人からメールが入りました。

「幻の『Xモルト』が千葉県のBARで開栓するよ。マスターがオークションで仕入れたらしい。希望者が多くて残り2~3杯しか残っていない。どうする?」

   あなたは、午前2時から海外のクライアントとネット会議があります。午前1時までに資料を用意して送らなければいけません。しかし、あなたは、

「今すぐ行きます!残りを全部キープしておいて!」

と、即答します。

「タクシーの移動中に作業をすれば資料は間に合うな」
「ウイスキー数杯なら、会議にも支障はないだろう」

あなたは、このように考えたのです。

しかし、友人からは、

「次回、千葉方面で仕事があったときにでも寄ればいいよ」
「無理はしないで」

と。

   あなたはすぐに返します。

「いや、物理的に可能なので!もう向かっているから」

   2時間後、本当にタクシーで乗りつけ、幻のウイスキーを堪能し30分でBARを後にします。午前0時にオフィスに戻って資料を配布。午前2時からのネット会議には余裕で間に合いました。

   ふつうの感覚であれば「教えてくれてありがとう」と言って、手帳の千葉方面に行く予定日に書き込む程度でしょう。しかし、「稼げる人」は物事を先送りにはしません。チャンスは一瞬しかないことをわかっているのです。

思考と行動のリミッターを外すとは?

   人事・戦略コンサルタントの松本さんは、

「15歳のアメリカ人、ジャック・アンドレイカ君は、叔父をすい臓がんで亡くしたことで、インターネットですい臓がんについて調べました。すい臓がんの検査が1回800円ドルととても高く、既存の手法では20%のすい臓がんを見逃すことを知りました。インターネットで情報を集め、検査のアイデアを生み出すと、それをもとに提案書を作成し、すい臓がんの研究を行っている教授200人にメールを出しました」
「結果、199人に断られましたが、一人の教授が手を差し伸べてくれて、研究室を借りることができました。すると、費用は3セント(約3円)、検査時間は5分、100%に近い正確さで初期のがんを発見できる、まさに『安くて簡単で正確な新しい検査方法』を発見したのです」

そう、言います。

   どうすれば、思考や行動のリミッターを外せるようになるのでしょうか――。

   松本さんは、リミッターが外れている人と知り合いになり、実際とのように考え行動しているかを体感し、自分との違いを知ることが望ましいと解説します。

   また、身近に、リミッターが外れている人がいなくても心配いりません。最近は、ビジネスで成功した経営者がセナーや私塾を開く機会が増えているので、その人の考え方や行動に生で触れることが可能だからです。

   もしくは、お手本としたい人のものまねをする方法もあります。SHOWROOMの前田裕二さん、堀江貴文さん、サイバーエージェントの藤田晋さんなど、 あなたがお手本と考えるビジネスパーソンになりきってみることで、ふだんの自分とは違う視野を得ることができます。

   本書には、長年「人の目利き」をしてきた、松本さんならではの人間論も盛り込まれます。気軽に読めて仕事へのヒント、行動のきっかけを提供してくれる一冊です。(尾藤克之)