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「働きすぎ!」「これはホラー動画か?」日本の会社員に1日密着の動画に海外がビックリ!

   日本の若いサラリーマンの1日に完全密着して、英語で紹介したYoutube動画が、海外で大反響を呼んでいる。日本人の目から見ると、どこにでもいる平凡な会社員の、フツーの働き方なのだが、外国人の目には異様に映るようだ。

「働きすぎだ!」
「これはホラー動画か?」
「見ているだけでウツになりそう」

と、極めて評判が悪い。いったいどんな動画で、何が問題になっているのか――。

  • 昼食は職場でコンビニのパン(日本のサラリーマンの1日に完全密着!動画より)
    昼食は職場でコンビニのパン(日本のサラリーマンの1日に完全密着!動画より)
  • 昼食は職場でコンビニのパン(日本のサラリーマンの1日に完全密着!動画より)

シャワーも浴びずに出社、昼食はコンビニのパン

   話題になっているのは、「【密着シリーズ】日本のサラリーマンの1日に完全密着!

という約11分の動画だ。

   これまでもコスプレギャルや新幹線の弁当、陶芸など、日本の文化を数多く紹介してきた、日本在住15年の米国人ユーチューバーPaoloさんの「日本紹介密着シリーズ」の一つだ。今年7月にYoutubeにアップされてから10月4日現在、世界中で365万回も視聴されている。

   密着の相手は、東京都内の通信会社に勤める27歳の男性マコトさん。

   朝7時起床。わずか15分で身支度を整え、朝ご飯抜きで家を出る。

   Paoloさん「シャワーも浴びないのか」

   マコトさん「いつもそうです」

   駅まで「MAMACYARI」(ママチャリ)を走らせる。駅の階段を二段跳びで駆け上がる。エスカレーターの右側を急いで上る。

   Paoloさん「日本のエスカレーターは右側を開けておくのがルールだ。もちろんマコトはいつも右側を使う」

   会社まで電車で30分。マコトは途中で2回乗り換えた。

   Paoloさん「30分の乗車時間は普通のサラリーマンの半分以下だ。マコト、電車の中はどうだった?」

   マコトさん「人がたくさんいた。日本はいつもこんな感じです。いつも我慢していますよ」

   会社についたのは午前8時20分。9時~6時の勤務なのに、誰よりも早く40分も前に着いた。従業員は5人しかいない。

   マコトさん「僕が一番若いですから、仕事の準備をしておかないと」

   Paoloさん「人数が少ないってことは、それだけいろいろなことを任され、責任も大きいということだよな。だから早く出てくるんだろう、マコト?」

   マコトさんはうなずく。8時50分、若い女性が2人出社。インターンの学生だ。彼女たちにコーヒーを入れるマコトさん。彼女たちの指導も仕事なのだ。9時から12時まで、電車を乗り継ぎ、2件の取引先に向かう。

   Paoloさん「日本では、電話で済む話も直接会うことが多いんだ。人間関係を築くことが大事っていうわけだな。ところでマコト、電車を乗り継ぐのは大変だろう、なぜタクシーを使わないんだ?」

   マコトさん「いつも電車だよ。ボスからタクシーは使うなって言われている」

   12時。マコトさんは会社のビルの1階にあるコンビニで、昼飯のパンを買う。職場に戻り、パソコンでメールをチェックしながらパンを食べる。

   Paoloさん「1階にコンビニがあるのは便利だな。マコトの昼飯を邪魔したくないからビルを探検しよう。ワオ~、廊下の先にキッチン(編集部注・給湯室)があるぜ。料理でも作るのかな?」

「おっと、『MEISHIKOKAN』(名刺交換)が始まったぞ!」

   午後、マコトさんはボスと一緒に取引先の大手通信会社に向かう。もちろん電車だ。先方に着いて挨拶を交わしあう。

   Paoloさん「日本ではちゃんとした会議の時は複数で出かけるが決まりだ。10人の時もあるぞ。おっと、『MEISHIKOKAN』(名刺交換)が始まったぞ! 名刺交換は大切な儀式だ。名刺がないと、ちょっと恥ずかしいぞ。ルールがいろいろある。両手で大事そうに受け取る。会議の間はテーブルに置いておく。今度、名刺交換の特集をするから期待してくれ」

大事なビジネス儀式「名刺交換」
大事なビジネス儀式「名刺交換」

   会議が終わり、マコトさんとボスはエレベーターの中に入る。取引先メンバーがその前で見送り、深々と頭を下げる。

   Paoloさん「エレベーターの扉がピッチリ閉まるまで、頭を上げてはいけないんだ」

   マコトさんはその後も取引先を回り続ける。午後6時5分仕事が終わった。帰宅途中に仕事の郵便物をポストに入れた。午後8時30分、家に着いた。ようやく一息つくかと思ったら、マコトさんはパソコンを立ち上げた。

   Paoloさん「マコト、何を始めるんだ?」

   マコトさん「仕事のメールをチェックするんです」

   同じテーブルでは、マコトさんの妹もパソコンを操作している。

   Paoloさん「こうしたことは日本ではよくあるぜ。では、密着はここまで。マコト、お休み」

「治安がいいのは、働きすぎで法を犯す暇がないから」

   勤務スタート時間より40分早い出社。昼食をゆっくり外で食べる時間もなく職場でのパン食、名刺交換の儀式、帰宅後もメールチェック......。日本ではそれほど珍しくない光景に、海外ネットユ-ザーから「これはあんまりだ。彼は人生の多くを失っている」などと批判が相次いだ。

   たとえば、こんな声だ。

「日本の治安がいいのは、働きすぎで犯罪をおかす暇もないからだな」
「人口が減っているのも納得だ。これでは家族と過ごす時間も持てないし、子どもをつくる時間も持てない。辛すぎる」
「彼らにはソウル(魂)がないのか」
「この動画、明るい音楽とコメントを取り去ったら、ホラー動画だよね」
「Paoloよ、マコトが泣き叫びながら眠りにつくシーンを忘れているぜ」
「マコトは働きすぎだ。この動画を見ているだけで疲れて、暗い気持ちになった」
「こんな生活をするならYAKUZA(ヤクザ)になったほうがましではないか」
「社員がインターン生にコーヒーを入れるなんて、信じられない」
家に帰ってからも仕事のメールチェック
家に帰ってからも仕事のメールチェック

   こうした海外ユーザーの辛辣な反応に、日本人フォロワーからはこんな戸惑い声が。

「動画見たけど、ごく一般的なサラリーマンって感じですが......」
「マコトの会社は9時~6時。どちらかというとホワイト寄りなのに、ここまで言われるか?」
「個人的には、彼らにはソウルはないのか、という言葉が一番刺さった」
「全部正答だからぐうの音も出ない。海外の皆さん、それが日本でよく言われる『SYACHIKU(社畜)』というものです」

(福田和郎)