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「就活ルール」廃止後どうなる? 企業の半数が「通年採用」に前向き 一方でこんな不安も......

   2018年10月に日本経済団体連合会の中西宏明会長が「就活ルール」の廃止を発表して以降、ルール廃止後の企業の採用活動が注目されている。2021年春入社以降の学生を対象とするルールについてはなお流動的だが、約半数の企業が「通年採用」の導入に前向きなことがわかった。

   総合人材サービス企業のヒューマネージが2021年3月卒業・修了見込みの大学生、大学院生を対象にした新卒採用について、企業の採用担当者向けにアンケートを実施。2019年10月9日に発表した。

   新卒採用をめぐっては近年、企業が就活スケジュールを変更する動きが顕在化。定期一括採用から「通年採用」への動きが強まっている。調査によると、新卒採用での「通年」制について、すでに実施している企業、実施を予定している企業、さらに「検討中」の企業を合わせた割合は49.3%で、積極派がほぼ半数にのぼっている。

  • 経団連は「就活ルール」廃止発表、21年春以降の採用についてのルールは流動的だ
    経団連は「就活ルール」廃止発表、21年春以降の採用についてのルールは流動的だ
  • 経団連は「就活ルール」廃止発表、21年春以降の採用についてのルールは流動的だ

通年採用、就職人気企業の23.7%が「すでに実施している」

   将来の新卒採用の制度としてキーワードとなっている「通年採用」。その取り組みについて、8.5%が「すでに実施している」と回答。4.8%が「実施する予定」と答え、36.0%が「検討中」とした。「実施済み」「実施予定」「検討中」を合わせた割合は49.3%。「実施しない/検討していない」は13.0%で、残りの37.7%は「情報収集の段階」と回答した。

   同じ調査の内容を、応募人数が1万人を超える、就職人気企業にしぼってみると、通年採用に前向きな割合が増える。「すでに実施している」は23.7%、「実施する予定」10.5%、「検討中」26.3%で、合わせると60.5%となり、積極派は6割を超えた。

   大きなうねりになりそうな「通年採用」導入の動き。「新卒採用で『通年採用』が拡大することについて期待する効果」(複数回答)については「早期から学生に働きかけができる(認知向上の施策含む)」が37.1%でトップだった。2位は「メリットは感じていない」の29.9%で、この選択肢が「留学生、既卒生など多彩な人材を採用できる」(25.2%)を上回ったことについて、ヒューマネージは「目を引く」と注目している。

   「『通年採用』が拡大することについて感じている懸念」では、4分の3以上が「採用担当者の業務負荷が増える」(75.3%)ことを不安視。2位は「内定辞退/内定承諾後辞退が増える」(66.2%)、3位は「学生の学業に支障が出る」(31.3%)だった。

   「通年採用」となると、担当者は、働きかけを行う学生の幅が広がることになり、業務の負荷が増える。また、人気企業の採否決定の時期によっては、学生の入社意思がいつまでも固まらず、内定辞退や内定承諾後の辞退が増えることが予想され、ヒューマネージでは、通年採用拡大で企業にとっては、この2点が悩みのタネになっているとみている。

   なお、調査は2019年8月30日と9月2日の両日、企業の採用担当者を対象に実施。361人から有効回答を得た。